あすは さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
いろいろな愛のかたちを描いた作品
いろいろな愛のかたちを描いた作品。
多分、合わない人にはまったく理解できないでしょうし、終わり方にも納得できないでしょう。ちなみに心の方向性的に、自分にはぴったしハマってしまいました。やばいw
きっと人は、お腹の飢えだけでなく、こころの飢えを満たさないと生きていけないんでしょう。でも、食べ物みたいに手軽に満たす方法はありません。スーパーで買ってきたりできません。社会の中で、ここまではOKという自分なりの基準で満たしていかなくちゃいけないわけですが、人それぞれ、その基準線が違う。そのぶつかり合いが、いろんな物語をうみます。
基準線が普通より大分広いと、さとちゃんみたいになるんでしょう。自分にはさとちゃん(やほかの登場人物)を否定できません。というか、わかる。社会の普通の基準線とのずれに、いつも悩んでいるので。
今は、社会がその基準―倫理とか道徳、習慣とか―を狭くしていくことを望む人が多いので、つらいんですよね(基準が狭い方が社会を維持しやすいので、そういう教育がなされているからだと思っていますが)。
さとちゃんがおばさんに、それは愛じゃないっていってたけど、もちろん、愛だと思います。登場人物全員、いろんなかたちの愛。
愛というものに、うそとか真実とか歪んだとか、そんなのはないでしょう。そういう言葉は、全部他の人が他の人をみていう言葉。「他の人からみて」、歪んでいる、間違っている…そんなの、どうでもよくない? 自分の心のなかのことだよ? 社会の既存の「基準」のための言葉です。
タイトルの「ハッピーシュガーライフ」、主人公が満たされるのが「しお」なのはなんでだろうと見てるあいだずっと思っていました。塩だと甘くないじゃん?って。
最後、ああこのタイトルはしおちゃんからみたものだったんだって。しおちゃんを満たすのは「さとう」ってことなんだね。最終回では、しおちゃんが自分の意思を明確にしてたし、これはしおちゃんのお話だったんだ。
登場人物の名前と同様、大量の甘さや苦さ、いろんな味を含んでいて、このアニメに限りませんが、それらをうまく味わうには創作を鑑賞する「スキル」が必要になります。
いろんな小説や映画に触れるのが好きな人であれば、「スキル」が高いので、たとえ方向が違っていても、「ハピシュガ」だってなんの苦労もなく楽しめるでしょう。最近のアニメしか見たことないって人には、ちょっと敷居が高いかも。
ほんとは、こういうのこそ、子どもに見せたいですね。これから生きていく世界の姿をきちんと描こうとしている作品なのだから。隠したって、ろくなことにならないよ。見た時は訳がわからなくても、いいんです。
という考えは、多分社会の「基準」からはハズれてるんだろうなぁ。うん、知ってるw
あとひとつ、自分にとって、バッドエンドとかハッピーエンドっていうのは、心底どーでもいいことです。だから、この作品でも同じ。そう終わったのなら、その作品はそういうこと! いちいち「なんとかエンド」みたいな言葉のわくに閉じ込めるの、いや。