栞織 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
童話作家の話だから童話的作品・・・・
現実的ではないという他の方の書評を先に読みました。私もほぼ同意です。障碍者の方にとってはもっと現実は困難なものであると思うし、それがヒロインの性格の悪さ(と書いてしまっていいものか迷いますが、最終場面まで見てその結論になりました)で、障碍者に対するイメージも損なわれており、しかし感動作として描かれているので、なんとも後味の悪い映画だと思いました。
実は図書館でこの映画のコミカライズ作品を借りて先に読んでおり、それからアマプラでアニメ版を見ました。田辺聖子さんの原作小説、また実写版は見ておりません。その上での感想です。
コミカライズ作品では最終場面の、ヒロインの逃避行の場面が描かれておらず、主人公がメキシコに行ってそれを見守るヒロインというだけで終わっておりました。しかし本作では脚本に、病院に主人公が退院時に迎えに来ず逃げていくヒロインという要素が加えられており、それがなんとも後味が悪いことになっています。私はこういうことを言うのもなんですが、足の悪い子供の世話をしたことがあります。足が治って退院した状態であっても、あのように長距離の雪道を松葉づえで歩かせるということをさせるヒロインは、あまりにも他者へのいたわりの気持ちがないように思いました。自身が障碍者であるということについて、本当に心底から考えたことがないように見受けました。それもあの童話的な感動的なオチに進めるための布石だとすれば、この物語は本当に童話でしかないように思いました。
否定的な意見ばかり言ってしまいましたが、全体的な話としてはシナリオはよく組まれていたと思います。また作画も非常に美しく、地元の大阪の街並みがたくさん出てくることは素直にジモティとしてうれしかったです。しかしどうしてこの最終場面だったのか。あれ以外に方法はなかったのか、そう思われてなりません。画竜点睛を欠くという作品だと思います。