てぶくろ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
思春期の間にこういう作品で拗らせておく事は、案外大事。
{netabare} キャラデザは原作者の個性をちゃんと掴んでいてかつ表情もよく動き、魅力的なカットも多かったですし、話の構成も良かったと思います。
でも…なんでしょう…。こう…手放しで喜べない感じ…。
個人的に気になる所が二つあります。
一つ目は 夜の表現について です。
第一話の中だけでも様々な夜の表現がありました。その一つ一つはとても美麗でしたが、若干盛り過ぎな印象を受けました。 いや、この作品はシーンのほとんどが夜なので印象的なのを差し込みたいのは理解できるんですが、いかんせん 明るすぎやしませんか?
冒頭の夜守くんが団地から出てくるところ、原作を読むと 彼は何の変哲もない夜の団地の風景をただ歩いているだけの事に静かな高揚を感じていることがわかります。 それをあんなにペカペカさせるなんて、彼の団地は映えスポットか何かですか。そりゃいい気持ちにもなるわな と思ってしまいました。
自販機のシーンでも「夜の自販機ってこんなに眩しいんだ…。」このセリフを言うにしては、その前がだいぶ明るいですね。キャラ自体も昼間を歩いているかの如く明るいです。その後の酔っぱらいとの絡みのところは大通りっぽかったので多少わからんでもないんですが…。
重ねて言いますが、これらの夜の表現はとても綺麗だとは思います。しかし、夜守くんの初めての深夜の徘徊で、彼が夜の街並みにどんな魅力を感じていたかを考えるとこれらの表現が適切なのかはちょっと疑問です。
二つ目は EDについて です。
この作品の夜の魅力は 「暗く 寂しいものであるが静かでどこか優しいもの」だと思います。原作3話の「ナイトフライト」でも 夜守くんは「静かでいい夜だ」と言っています。
本作品の序盤の見せ場である肝心のナイトフライトで"Creepy Nuts"の「よふかしのうた」はハマっていたでしょうか。
アニメ化前のMAD風のPVならばいざ知らず、このシーンの持つ意味はテンションをぶち上げることでしょうか?
他に優先する表現は本当になかったのか。 この作品の良さを引き出すのにこの選曲でこの使い方ははたして正解だったのか疑問です。
全体的に悪くはない第一話でしたが、この作品の良さを十二分に理解し、引き出したものだったかは微妙です。{/netabare}
第2話視聴しました。
{netabare} 話の流れ自体は、深夜に外や部屋で会話をしたり少し特別な体験をしたり とこの作品のフォーマットに沿ったものなので良いと思うんですが、やはりキャラの彩度などが気になりますね。
この作品 特に初期は会話劇がメインとなります。その会話の間ずっとペカペカした背景の中くっきりと浮いているキャラを見せられるのはなんともチープに映ります。要所要所で効果的に使われるのなら良いですが、紫と黄土色の2パターンの一辺倒ではこの先苦しくなるような気がしますし、印象付けたいシーンが霞んでしまうような気がします。
その点で言うと、終盤にあった明朝の街並みの2カットはすごく良かったと思います。ゴテゴテと盛られた夜よりもずっと綺麗だと感じました。
その後のキャラはやっぱり浮いていましたが…。
これから複数のキャラが登場しますがどうなっていくのか期待したいです。{/netabare}
第6話視聴しました
{netabare} まず、これは誉め言葉なんですが、ちゃんときしょくて良かったです。
夜守くんはもちろんですが、その他の登場人物もこの作品が持つ独特の気色悪さがちゃんと出ていて非常に良かったです。
原作のこの話を読んで、うわー……。と思ったところがアニメでも再現されていて、うわー……。となれたので満足です。 この痛々しさが本作品の魅力と言えますしね。
さらに、"Creepy Nuts"を声優としてキャラの風貌も寄せて登場させちゃう制作会社のイタさも、原作のイタさと相乗効果で良かったです。
もう1つ良かった点は、夜の使い分けが効果的だったこと です。
あのペカペカどギツイ夜の描写も、ナイトプールの場面でようやく本領発揮することができました。
冒頭でお姉さんが歩く夜、道の真ん中に立っていた時の夜、ナイトプールの夜、そこを抜け出して歩く夜、学校のプールでの夜、様々な夜の表情が描写されていました。
場面場面で様々な夜の表現が''効果的に''されているのがこの作品の魅力になっていけばいいなと思います。
この先ちょっと作品のテイストが変わってきますが、どうなっていくのか期待です。{/netabare}
最終回を終えて
{netabare} 原作の持つイタさがアニメ化によってブーストされている。そんな印象です。
しかし、このイタさは存外に悪いものではなく、思春期の時にこういう作品でちゃんと拗らせておくことは、後々を生きていく上で案外大事なことのように思います。
おたふく風邪のようなものですね。
私も中学二年生の時にこの作品と出会っていたら、きっと夜の散歩に繰り出していたと思います。
{/netabare}