てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
大塚明夫ボイスの渋いオヤジが宇宙のお宝求めて大活劇。アウトロースター、ビバップ、よりも劇場版ルパン寄り
ufotable制作のオリジナルアニメ。星方武侠アウトロースターぽい世界観のスペースオペラで全12話。
宇宙アウトローな主人公一味が、親友の海賊王が遺したお宝求めて、もうすぐ爆破される惑星目指す。
主人公と因縁のある犯罪ギルド女ボス、銭形ポジの女捜査官らと三つ巴の大活劇。
【良い点】
渋いオヤジ版アウトロースターな浪漫、趣が堪らない。
亡き親友が遺したお宝を、親友の娘と共に追っていくオヤジがカッコイイ。
ストーリーラインが明快で、親友の遺産が眠る惑星が光子爆弾で爆破されてしまうタイムリミットが迫る渦中、目標に向けて一直線に進行。
海賊王の娘ちゃんがヒロイン、全編通して目標に向かう、劇場版ルパン三世寄りな作劇。
ストーリー自体は一本道でやや起伏に乏しいが、タイムリミットや他勢力の状況変化、キャラドラマで飽きさせない。
特にタイムリミットを常に意識させる事で、終盤に向うほどにハラハラさせる。
全12話中弛みせず無駄回無く、ミスター、ミスターを追う捜査官アンジェリカ、ミスターと因縁あるマルチアーノらのドラマが手堅い。
終始シリアスだがコヨーテ(アウトロー、主人公一味)達が大胆不敵に楽しそうに目標に邁進する雰囲気が明るく、痛快さが勝る。
フランカちゃんも次第に成長してミスターの良き相棒になっていったり。
作劇のタイプとしては「飛び降りる宮崎駿」路線、ミスター一味はどんなに銃撃されても死なない安心感。
これはリアリティーが無いのではなく、そういうタイプの痛快活劇として設定されている。
敵ボスのマルチアーノにも切実な想いあり、邪悪な感じはしないのも、爽やか。
お宝も金銭ではなく惑星を救い、亡き父のフランカへの愛を掘り下げる、爽やかな物語に仕上がっている。
ザ・大塚明夫!な渋いミスター他、一味も個別の掘り下げこそないがしっかり存在感見せている。
皆ミスターを信頼しているのが伝わるため、個別の掘り下げが無くとも暗黙で素晴らしき仲間感。
ビショップ「爆発の残り時間は?」カタナ「俺たちの残り時間かも知れねえ」等々やりとりも軽妙。
ミスターにとんでもないものを盗まれたアンジェリカの一途なロマンスも良し。女銭形がルパンに惚れてる感じ。
ミスターと親友ブルースの絆など詳細は語られないが、言下に伝わる想いがあり、渋い。
作画は良好で、細部にまで拘った描写が光る。
声優陣は大塚氏以外も豪華。マルチアーノとは中の人が元夫婦だったり。
【悪い点】
良い点と裏腹、ストーリーが一本調子で予定調和の域を出られず。
マルチアーノ配下の12姉妹が殆どモブ。(キャラ評価4.5→4)
ロージェノム状態でアンジェリカと同行し親交深めたメイ以外は個別の掘り下げが無い。
12姉妹はケタ違いに強いのが1話の大虐殺で印象付けれられたのに、その後生身のミスター一味に苦戦してるのが不自然。
銃弾当たらないのは「飛び降りる宮崎駿」路線だから良いとしても、真正面から白兵戦できちゃってるのは途端にB級くさく感じる。
マルチアーノとミスターの因縁の詳細が不明、彼女の執念が滾る終盤置いてけぼり感も残念。(物語0.5減)
漫画版で描かれている模様だが。(未読)
【総合評価】7点
惜しい粗もあるものの、それ以外は完成度の高いオリジナルアニメ。
名作級には足りなさすぎるだけで、水準よりずっと面白い。
このレベルで埋もれているのは勿体ない、2006年の層の厚さは凄い。
評価はとても良いには惜しい「良い」