退会済のユーザー さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
勇者が魔王軍に志願?!その訳は…
2022年春版放送。全12話。全話視聴済。クオンタムさん原作ラノベ(第2回カクヨムWeb小説コンテストファンタジー部門大賞作品)を映像化。制作は萌えものを得意とするETMスクエアード。
【前フリ】
何気なく視聴開始。キャラ、作画、ストーリーは平均的レベル。声優陣は豪華です。見進めるキーとなったのは、魔王軍の大将(女王)の名が「エキドナ(CV 本条楓さん)」だから。アニメファンなら視聴済みであろう、あの「Re.ゼロ~」で描かれた強欲の魔女と同一名。魔族、魔女関係の伝書にエキドナは存在せず、人の性(さが)をテーマにする物語で伝書、七つの大罪に触れる際、様々なモチーフから表現されるキャラの1つですが、本作は果たしてどんな物語?…。
【本編・見所について】
タイトル通り、ストーリーは勇者が何故敵のはずの魔王軍に志願したのか?その理由が明らかになる過程で、魔王軍(魔族軍)の幹部達との交流を通じ、バックグラウンドテーマとして、現代社会を生きる私達へのメッセージがキャラによって語られます。それはOP、ED曲の詞でも表現されてます。前半は、魔王軍幹部キャラ・リリの可愛らしさ、各キャラのツンデレ描写が多く、6話以降にタイトルの意味等、全容が明かされるので、放棄せず気長に観て下さい。本作は、異世界転生では無く、現世(西暦2060年)に突然魔族の大群が出現する初手は(後半でそれは魔界と現世を繋ぐGATEだと表現される)「GATE 自衛隊彼の地にて~」上述のエキドナ名は「Re.ゼロ~」、賢者の石を巡る闘争は「鋼の錬金術師」、メインキャラが不死身系は「七つの大罪のバン等」…など他作品をモチーフにし過ぎている感が否めません。各キャラの個性感、テーマも見えにくい為、なかなか入り込めません…。魔族と敵対して戦闘をしているのに、人類と魔族が啀み合うシーンが描写されない点、魔族が魔界に美しい空気、水、太陽の光を求める設定も?ですし…。原作がファンタジー(未読)なのに、その要素も薄いので、のっぺり感が拭えず進行してしまいます。
それでも最後まで観きり、その上で本作のお勧めポイントをあげるとすれば、8話~の展開、ラスト2話の盛り上げ方は悪く無いです。そして最終話で、やっと勇者レオは何故魔王軍に志願したのか…何故ずっと表情が無機質に描かれたのか…3000年の時を超えて…。リリを筆頭に魔王軍四天王もいい役回りをしています。声優陣もスペシャルな演技です。何より、最後のレオの言葉は素敵です。ハッピーエンドで閉めてくれてありがとう。
PS︰ラスト良かったから、1995年に始動したロボアニの金字塔的超大作に被らせたのも、勇者と魔王が手を取り合うあの作品とも…許しちゃいます。結局、知りたかった何故エキドナ名を使ったか?理由は解りませんでした。
【後書き】
伝書の七つの大罪をローマ教皇庁が新解釈と表明した中に、遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正等があります。本作は多方面の要素を取り入れすぎて、メインテーマがボヤけていますが、私は、七つの大罪(新旧含め)を強く意識した作品の様に思えました。いっそ、よりリアルにメインキャラの生い立ちを問う社会派作品に極振りしていれば伝わりやすかったのでは?と…。