螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価
3.0
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
素材は好きだけど中身がダメ。ツッコミどころ以前に話自体が微妙。
A-1pictures制作のオリジナルアニメ。
オリジナルアニメと聞くと最近はわたしの好きなクソアニメの割合が多い印象です。前期までは群青のファンファーレとか東京24区が悪い意味で幅を利かせていました。まあわたしとしてはある意味で豊作だったので楽しんで観ましたが。この作品はそれらと同様にANIPLEXが関わっているんですが、こちらの出来は良い部類だと思います。
内容としてはタイトルに書いた通りシティーハンターの女の子版という感じ。犯罪者予備軍を少女たちがあらかじめ始末してしまうという、PSYCHO-PASSみたいな要素もあります。
メインは主人公たちが表向き喫茶店を経営し、裏では一般の人間には解決できない荒事をこなすというもので、やはりシティーハンターを連想させます。あちらより観ていて軽い感じですが。軌道変更せずに今の感じで続けていくならそれなりの良作にはなると思います。しかしながらオリジナルアニメはサクガンや海賊王女のようにいきなり質が急降下する作品が過去にあり、この作品が同じ轍を踏む可能性が無いとは言い切れません。
どちらに転んでも楽しみますが、できれば面白いまま終わって欲しいですね。
良い点
作画はかなり良い。戦闘シーンは圧巻の一言。
キャラデザも可愛らしくできている。SAOやけいおんを手掛けているだけあり美麗。
世界観も掴みやすく、キャラクターの立ち位置もスッと入ってくれる。
悪い点
少女だけを戦力にする必然性は不明瞭。1話時点ではまだ理由付けらしいものは無い。他作品なら能力は若い頃にしか使えない、少女にしか目覚めない力である、能力開発で才能を見出された、孤児を集めて英才教育を叩き込んだなど、作品によって千差万別ながら理由付けが明確にある、あるいは察することができる場合が多い。
戦闘シーンでちさとが使った非殺傷弾が車体を破壊する割に人体に致命的なダメージを与えていないというチグハグさがある。車体を破壊する威力が出るなら殺傷性は高いはず。
2話時点ですでにエピソードの薄さが目立ってきた。ハッカーのキャラクターは2話時点でもう少し掘り下げても良かったと思う。ハッカーがろくなエピソードも無しにいきなりリコリコの仲間になるのはカタルシスが無いし、あっさりと射殺された(フェイクだったけど)時はハッカーとちさとたちとのエピソードが薄いのもあってちょっと萎えました。2話という早い段階で失敗してちさとが泣きましたみたいなのを入れられても、一見ちゃらんぽらんだけど実は有能設定であるちさとが本当に有能なのか分からなくなるだけですし、1話みたいな短編を3話くらいまでやってちさとの有能さをアピールした後、調子付いてきた4話くらいに飴と鞭の鞭みたいな形でこの話をやった方が良いと思いましたね。キャラクターがほとんど失敗しかしておらず、そこが致命的なつまらなさに繋がっていた東京24区でも思いましたけど、成功体験で適度に引っ張ることも大事だと思います。
2話
不殺について掘り下げますか。それ超難しい話でかつ他作品だと論争の種になりがちなんですが、大丈夫でしょうか。るろ剣みたいに重厚かつ面白くできるなら文句は無いんですが、この作品は2話時点ですでに細かい設定や人物の掘り下げを無視した雰囲気作品みたいなところがあり、その中でこんなに難しい題材を取り上げるのは流石に不安です。現に依頼人とのエピソードが薄いなどの看過し難い欠点がすでに顔を覗かせつつある中、懸念材料は増えるばかりですね。
3話
たきなによる他作品でもよくある葛藤回。シナリオ運びは良かったものの、全体的にありきたりなので特筆する程でもないです。モブのリコリスが可愛くないのがマイナスポイント。たきなが組織の不手際を隠すためのスケープゴートにされたこと、リコリスはみんな孤児という設定が出て来たのがこの回の収穫でしょうか。
4話
千束がたきなを誘って水族館に行ったりパンツを買いに行く話。3話から一気に距離が近くなっていく二人のやり取りは良かったです。ただ、パンツで1話潰したのはなんかアレですけど。裏で暗躍していた悪いキリト君による爆破テロが今後の展開のための布石になるかと思います。
しかしながら4話まで観てもシナリオ自体はありきたりで薄い部類ですね。あまり深く考えず、キャラ萌え主体で観るのが吉でしょうか。
5話
機械に命を預ける程の大病を患ったホーキンスという老人を千束とたきなが護衛する話。彼の話から千束の謎も少しだけ明らかになり、この件にまつわる伏線もいくつか撒かれました。
感想としてはこれまでを含めて無意味にごちゃごちゃしています。中身が濃いというわけではなく、あちらこちらから取ってきた要素をストーリーに落とし込めていない感じが強いゆえに、内容が薄い癖にやたらと複雑な構成が出来上がってしまっています。
不殺に、リコリスが存在を隠蔽されているといった86みたいな要素にPSYCHO-PASSみたいな犯罪予防の施策、百合要素、挙句にシティーハンターみたいな裏稼業での依頼遂行とか1クールで捌くにはいくらなんでも欲張り過ぎ。しかもそんなに盛り込む割には設定がガバいし、話がとっちらかるばかりで心配になってきます。
これらの要素を受け入れた上で見ると、千束の無能さが目についてきました。1話や3話を見る限りではたきなも大概なんですが、千束もリコリス最強という割には逃げたホーキンスをあっさり見失ったり、そもそもあまり実戦における活躍シーンがあまり描かれないことから、2話から引き続いて彼女の有能設定には異議を唱えずにはいられません。彼女を有能キャラとして描きたいなら4話なんてパンツとか水族館に行ったりするだけで無駄に消費べきではなかったし、むしろあの回は何かしら理由を付けて千束とたきなをテロリストと交戦させた方がもっと盛り上げられたと思いますね。
あと制作がキャラクターを大切にし過ぎているのも胡桃やミズキを殺さない辺りで確信しました。とりわけ暗殺者が制圧したミズキを殺害しないのは不自然極まりない。暗殺者なら他の敵に対して足がつかないようにするため、顔を見られたなどで任務遂行の障害になりかねないミズキを始末しない理由が無いです。細部がガバいまでならまだしも、こうした心理描写までおかしいのは首を傾げます。
SPY×FAMILYや鬼滅の刃、呪術廻戦などは好かれる要素が明確に分かるので高評価は納得行くのですが、この作品は長所を見つける以前にモブのヘイト集め特化な言動、キャラデザやガンアクションジャンルとしての設定の怪しさなど、没入を妨げる変な点が多過ぎて世間の高評価を飲み込めないでいます。
6話
千束vs真嶋の初戦。
4話もそうですが、千束とたきなのやり取りは文句無しで面白いです。じゃんけんだけならわたしから見ても覇権クラスはあります。千束の剽軽とした性格がこういう日常シーンではしっかりと活かされていて、今回の台詞の仲間ともしもしもしもしが特に好きですね。
しかしながらこの回のウリであるはずの真島との戦いがかなり微妙。2話から続く悪い点ですが、千束の不殺が1話以外で良い方向に転がった試しが無い。それに不殺をしたいだけなら敵への直接ダメージに乏しいであろうゴム弾じゃなくても実弾で手足を撃ち抜いて鎮圧する手もあります。シティーハンターなどの他作品は殺さない場合はそうしてましたし。敵に怪我すらさせたくないのでしょうか。2話見る限りはそんな感じでしたが。また、最強のリコリスであるはずの千束が最大の長所を封じられただけで真島に一方的にボコられるのも結構不自然。普段使い慣れている手を封じられた場合の対策は練っている方がプロとしては自然なように思えます。千束はなんだか、最強の肩書きの割には弱くてダサいんですよね。おかげで彼女の剽軽な性格が悪目立ちしています。
真島がロボ太が撮影した映像を見て千束に興味を持つシーンも説得力に乏しい。あんな映像のどこに興味持てるの?あの程度の立ち回りは他のリコリスもできそうな感じでした。
挙句真島は敵キャラクターとしては小物臭いし、千束と因縁を作るキャラにはとても見えないのもあってこの話は茶番感が強かったですね。
7話
物語の肝になりそうな過去のテロの主犯が真島であることが判明。真島はDAの場所を解析するため警察署を襲い、ハッキングデータをパソコンに仕込みました。
千束たちの方は千束の掘り下げが多少あったくらい。多分こちらも大事な話なので覚えておくと良いです。
この話は全体的にタメ回といった印象が強いです。
変な点としてはPSYCHO-PASSみたいなシビアな世界観の割には警察が弱過ぎる点とかですかね。大規模テロをきっかけに徹底的に対テロ対策をして武力を強化している方が説得力がある。
もしかしたら過去の大規模テロも何らかの方法で隠蔽してるかもしれないけど、ここまでのことを隠蔽して市民や警察組織に平和ボケさせるのはDAの権力一極集中になりかねないし、国という組織としては独裁的になり非常に不味いです。しかしながら権力の集中についてはそうした傾向がこれまでの話の節々に見られますし、もしかしたらこの歪な設定群が伏線の可能性も無きにしもあらずといったところでしょうか。
少数精鋭とはいえ、このハードな世界観で少人数相手に一方的に警察側が壊滅させられるのはいくらなんでも引っ掛かりました。この回で世界観とDA、リコリスの設定の擦り合わせができていないことが明らかになったと思います。
ちょっとこの作品はメインキャラに見せ場や展開を作るために脚本の都合で他を無能にし過ぎなきらいがあります。前の話なんて最初にちょっと出てきただけでフェードアウトしてるDAが無能の極みでしたし。
8話
キャラのやり取りは一貫して面白いです。脚本のダメさが全部台無しにしていますが。う○こケーキのネタとか、キャラの描写の積み重ねができてないのにやるんかい。ネタ自体は面白いけどやるべき話には見えなかったです。それにここまで千束の凄さをギャグ展開以外でろくに表現できていないのも展開における説得力の無さを助長しています。一応彼女を活かそうとする任務のシーンはまあまあ描かれてますが、今のところどうでもいい雑魚狩りばかりでこれじゃ出来の悪いなろうと変わりませんね。とにかく、ネームド相手に千束が活躍するシーンは絶対必要だったと思う。挙句あんなあっさり無力化されて改造手術されるのも印象が悪い。弱そうにしか見えない奴が弄られたところでふーんとしかなりませんし。
1話時点だと面白いとは思いましたが、それ以降覇権枠にしてはあまりに微妙です。
11話まで
二次創作を漁るくらいにはキャラと作画、キャラデザに魅力を感じますが、唯一の欠点であろうシナリオがマジで東京24区とかシグルリレベルだから別の意味で泣けてきます。粗探しとか言ってる場合じゃないくらいに脚本が崩壊してると断言できますね。なので物語は容赦なく1点のままです。
シャッター蹴り飛ばすとか銃弾全部避けるは別に気にしないんですが、DAの無能とたきなの命令違反が本当に酷い。
11話までの問題点
・DAが置物
終盤まで基本話に絡まないくせに変なところで出てきて無能を晒しまくるから印象の悪さだけが残っています。魅力の出せそうなフキとかサクラはたきなが3話と11話の葛藤する話にだけまともに出ては安いヘイトチャージ役を押し付けられたいわゆる当て馬にしかなっていないし、他のリコリスは真島に引っ掻き回されるだけの役にも立たない空気そのもの。このようにたきなと千束以外のリコリスがほぼ安いかませモブだから、リコリスたちの命が軽々と失われていく緊張感がまるでない。
あとは楠木司令が無能過ぎる。10話にて罠がある可能性が高い敵の本拠地へのたきなやフキなどの主戦力一斉投入かつ司令自ら踏み込むとか悪手にも程がある。百歩譲って替えが効かなくもないリコリスたちは良いとして、司令塔の楠木が死んだら命令系統がズタズタになる可能性があるハイリスクな状況が分からないのは流石におかしい。しかもそんな風にアクティブな割に11話のルンバくん爆発編では司令室に引っこんでるという矛盾。
明らかに怪しいルンバくんたちを放置するリコリスたちもリコリスたちだし、見れば分かる違和感が多過ぎる。
・たきなが成長していない。
千束が行方不明になってからのたきなの命令違反をする様が1話冒頭の銃乱射の時と悪い意味で全く変わっていない。千束を心配する気持ちは分かるけど、かといって私情塗れの身勝手な行動でチームに穴を空けてフキたちを危険に晒すのは違うと思う。
しこりを残しつつもたきな任務遂行→真島演説→ルンバくん突如召喚され爆発→たきな真島のもう一つの目的を知りフキたちの理解を得る→罠に嵌り傷だらけのフキたちに代わり単身千束を救いに行くために真島の元へ
多分このチャートの方がフキたちに無駄なヘイトチャージする必要無く自然に千束とたきなの共闘に持っていけたと思う。
・物語の進行上、不必要なキャラが多い。
物語の重要なファクターなはずなのになぜか空気なDAを始めとして、クルミやミズキなど賑やかしにしかなっていないキャラが多い。極論千束、たきな、ミカ、吉松、真島、ロボ太辺りがいればこれまでの話の構成は完成している。話にあまり関わらなかったクルミやミズキの役割は千束やたきなに盛り込めば十分だし、彼女たちの魅力の補強にもなる。魅力や役割の薄いキャラを乱雑に増やしまくっているシャドーハウス2期にも言えるけど、キャラクターは増やせば良いってものじゃないと思う。
あと2話だけどどう落とし込むか、気にはなりますね。