てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
現代文明の風刺と警鐘をコミカルに綴ったオムニバス
日本沈没で知られる日本SF界の巨匠が原作の、1話数分×全27話のオムニバス短編。
ウィキペディアには1話5分とあるが、全84分なので1話辺り平均3分ちょい。
【良い点】
現代文明や人間の愚かしさを時に痛烈、時に不気味、時にコミカルに綴っていてどの話も面白い。
1話数分でテンポ良く、どの話も考えさせられたり、オチに意外性あり、良い意味で後味が悪い。
寓話的なSF、なんとなく星新一のショートを思わせる。
世にも奇妙な物語ぽさもあり、結構怖い話も多いが、ブラックコメディーとしてはライト寄りで見やすい。
地球より文明進んだ宇宙人など上位存在に翻弄されて人類壊滅する系が多い。
19話、無限に皮剥いてもなくならないラッキョウを人類は解明しようと水爆使用→地球滅亡→せっかく無限の食糧あげたのに地球人バカじゃね?
22話、人類は急速に発展したけど銀河規模の危機に対処する時間は無いから滅亡決定、宇宙のステルヴィアになりそこねたり。
15話、ロボットの患者が盲腸手術で盲腸摘出、盲腸なんて遥か昔に不要な器官→この盲腸はかつて人間と呼ばれていた…
なんとなく最初からオチが読めてたけど、コワイ。
多分遥か昔にロボットに支配が移り人間滅びてる?
特別編星野球では侵略異星人との絶望的な戦争の渦中で宇宙で野球した思い出話、実は異星人は宇宙野球で星に被害出て怒ってたオチ。
シリアスからのコミカルの落差が凄いが、イデオンやバイファムとかのロボットアニメでありそうな不幸な誤解から戦争をコミカルに風刺した。
21話運命劇場はアメリカ映画「トゥルーマン・ショー」、少し先駆けたアニメ「永久家族」にも先駆けたネタ。
上位次元人のテレビ番組で現代の通勤地獄の人生演じさせられていたのは実は原始人、多分通勤地獄を風刺。
他にも現代文明は地獄だ的な風刺ネタが多い。
最終話は女将と客が居酒屋のラジオで米ソ核戦争で滅んでいくのを聞きながら呑気にお喋り、帰宅際に核の冬で閉ざされるラスト。
オムニバスのラストを飾るに相応しい余韻あり。
作画は古臭いがガイナックス制作で演出のクオリティーが高い。
声優は日本昔話みたいに男女二人だけで演じているが、演じ分けが上手く、むしろ独特の寓話らしさを出している。
名古屋章氏と富田靖子氏どちらも上手い。
【悪い点】
作画が垢抜けないのと声優が二人しかいないのはむしろ持ち味。
ちょっと意味がよく分からない回もちらほら。
自分の理解力不足であって悪い点ではないかも。
【総合評価】6点
かなり面白いショートアニメ。
流石は星新一と並ぶSFの巨匠だけはある。
評価はとても良いかはちょっと迷う「良い」