「灰と幻想のグリムガル(TVアニメ動画)」

総合得点
87.5
感想・評価
1966
棚に入れた
9456
ランキング
152
★★★★☆ 3.9 (1966)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

未熟な少年少女たちが成長し生き抜く、異世界転移系異色の傑作

記憶を失い異世界に放り出された主人公たちがパーティーを組み、必死に生きていく。
かなりシビアな作風。

【良い点】
異世界系やゲーム世界系でありながら、他と一線を画すリアリティーとシビアさ。
主人公たちは初期は最弱のゴブリンにも苦戦したり、思春期の少年少女たちがアイディンティティーや距離感を掴めず衝突したり、生活苦に喘いだりをリアルに描写。
MMORPGファンタジーをリアルの挫折や成長に置き換えて切々と描いていく。
心理描写や交流を瑞々しく描き、戦闘も生活もただ今日を生き明日笑えるために。
淡々としているがドラマは極めて骨太で飽きさせない。

一見群像劇だが主人公ハルヒロの成長に絞っている。
自分が何者か?何者にもなれないのか?と悩みつつ、頼もしいマナトに依存して失い、心閉ざすメリィとの距離感に四苦八苦し、仲間や亡きマナトに救われ、成長していく。
仲間と自分を信じ、痛みを抱えながらも前に進んでいける。
珠玉のジュブナイル。

キャラ名呼び合い覚えやすい。個性的キャラたちの会話劇が非常にいい。
ウザいランタと天然なユメが特に印象的、他愛のない掛け合いが楽しく、シビアな境遇でもマナトの死以外は楽しい雰囲気を維持。
7人全員の個性と魅力を丁寧に描いていた。
ちなみにランタは原作よりウザさが大分マイルドになっている。

女の子3人も非常に可愛い。
仄かなラブコメ要素もかなり良い。

異世界ものながら地に足の着いた、ただこの世界で「生きる」ことを目的にした物語。
それを水彩画のような美しい作画とセンスの良い楽曲で紡ぎ出す、ファンタジーアニメの理想形。
とにかく作画が素晴らしい。
生活感描写、食事シーン、干し肉を削る、お湯注ぐ、火起し…丁寧な描写の積み重ねで、彼らは確かにこの世界に生きてるんだと実感できる。
幻想的な作画と情景を盛り上げるBGMを背景に、成長していく主人公達の生きる輝きを純粋に見せてくれる。

戦闘シーンも抜群に良い。ゴブリンに苦戦する戦闘でここまで手に汗握るアニメは稀有。
戦闘はMMORPGがベースと思われ、ハルヒロによるスキルの解説シーンが丁寧。
役割分担や成長方針、リソース管理なども重視。メリィがヒール出し惜しみする作劇で彼女との確執から交流和解を描くなど、作劇が上手い。
本作の肝はリアルとゲーム的設定のバランスで、ゲーム的なスキル戦闘がドラマ面のリアルさをいささかも損なわない。
個人技と集団連携どちらも、練度の向上で彼らの成長過程を分かり易く見せてくれる。
彼らの成長していく過程をワクワクしながら見られる。
また、モグゾーの重鎧は隠密行動に不向き、盗賊ハルヒロや狩人ユメの偵察重視など、TRPG要素も。
ハルヒロのクリティカル表現や、日常シーンも含め、本作はTRPGを濃密に描写しようという意欲を感じる。

楽曲面では主題歌が主題を完璧に捉えていて素晴らしい。OPの時点で泣けてくる。
EDや挿入歌の層も厚い。

【悪い点】
作風上仕方がないが、話が地味。
ラストもストーリーは一区切り付けてはいるが、途上で終了。

BGMが若干邪魔に感じるシーンもある。
評価下がるほどではないが。

【総合評価】9点
珠玉のジュブナイルファンタジー。地味な傑作。
序章で終了は勿体ない、続編が見たい。
評価は最高に近い「とても良い」
(未完作品には最高評価付けない方針)

投稿 : 2022/07/03
閲覧 : 311
サンキュー:

21

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