神谷 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
傑作
魔法少女まどか⭐︎マギカ
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞作品。この作品について賛否両論などあるがこれは主に肯定したような視点でレビューを執筆する。
まず表現規制をしたお役人が選んだものなんてほとんどが固い作品になり、エンタメ性を付随しているかといえば答えはNOだ。あの人たちの選ぶ作品は有害なものを排除したものであり、エンタメ性を付随したジャンプ作品はこの賞では選ばれない。なので大衆とは隔離されたものが多い。
しかしそんな中でもオタク向けアニメである魔法少女まどか⭐︎マギカは選ばれてしまった。この選定については色々と賛否両論あるが、富野由悠季。スタジオジブリ代表取締役鈴木敏夫、ミステリ作家の芦辺拓や小森健太朗、SF作家の山本弘、漫画家の吾妻ひでお、三浦建太郎、放送作家の鈴木おさむ、演出家のラサール石井、作家の太田光、樋口毅宏が絶賛した。ファイナルファンタジーシリーズの坂口博信も本作のファンであると述べた。漫画原作者の小池一夫からも賞賛の声が挙げられてる。
このお固い文化庁芸術祭がどれだけ難しいかというと、売上上位のジャンプ作品がひとつも入ってないレベルでとてもお固い。それはアニメーション作品部門だからというレベルでお固い。
作品全体の評価としては、時間ループものとして、とても素晴らしい作品である。タイムループものとしてあげられるように、最初子供向けアニメのつもりなのに、とても残酷でグロテクスなものとして恐怖感に慄いてついつい見てしまうということである。
また中身としては、SFものであり、時間ループすることでまどかの運命を救い出して、世界を正しく戻していくというセカイ系。
これは涼宮ハルヒの憂鬱から続く主人公の近くの人間が世界の趨勢を決めている要因となっており、この近くのことを変えれば世界は変わるというのがセカイ系の由来になっている。これは本流は涼宮ハルヒの憂鬱からなり、そこから発展して、このアニメの作品が成り立っている。
こういったセカイ系は、自分が頑張って世界を変えるというバックストーリーがあり、時間軸を変えるというものは時間を渡るという神秘性を付随していて、渡ること自体にそこまでして渡ってきたという衝撃感がある。
その努力の結果としてまどかが、高次元の存在になってしまい、世界を変えようとするのは壮大であるために、アッと驚いて感動してしまう。
実はこれ、表現規制した後の飴と鞭という可能性もあり、オタク向けから大賞を選んでやろうという魂胆があるのではないかと筆者は疑ったがそうではないらしい。
中身としてはマミさんの首がもげたり、さやかがヴァイオリンが弾けなくなった男の子を救うために助けるものの、その男の子を他の女の子に取られ、絶望して魔女になったり、ほむらが何度も世界がループをして世界をやり直したりということがあり、女児に見せるのはおすすめしない。表現がかなりきつい。大人向けのアニメである。
その反面として東京都主催の賞に選ばれているのは意外であり、筆者はこれについて驚いたが、これがなければ自分の身近な人に紹介するときに変なアニメだと思われてしまうために助かったということもある。
ということで私はこの賞受賞を割と肯定している。
また、あの花やAngel Beatsなどこの頃のアニメはアニメオリジナル作品が多く、アニメオリジナルが売れるということの流れを作った作品である。
この作品があったからこそ、アニメオリジナル作品ができるようになったのであり、これからこういった深夜アニメのオリジナル作品を増やして行く。深夜アニメを日本のマイナーリーグにしてそこから上がってきた作品を楽しむというようなことにしていけば面白いのかもしれない。