「風立ちぬ(アニメ映画)」

総合得点
71.8
感想・評価
815
棚に入れた
4289
ランキング
1271
★★★★☆ 3.8 (815)
物語
3.9
作画
4.3
声優
3.3
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

風は何処へと立つだろう。

堀辰雄×堀越二郎×宮崎駿のミキシングムービー。

リスペクトであり、モンタージュであり、オマージュでもあります。

誰への視点に寄せて視聴するかでレヴューが定まるでしょう。


~    ~    ~


通底するのは、美しさへのアタッチメント。

ロジックの検証であり、デザインへの探究であり、レコードの達成であるのでしょう。

一方で、両の肩に圧し当てられるのは時代の要請。

でも、二郎の心が開襟できるのはカプローニへの羨望なのです。


飛行機が叶える美しい世界への兆しを、手放すことはできないのです。


~    ~    ~


1920年の様相は、どこか現代に通じています。

病気が蔓延し、(核)戦争さえ想起されます。

経済は行き詰まりを見せているし、社会不穏はニュースに事欠きません。

これで大震災が起きようものなら・・・。


菜穂子の息苦しさは、いつか私の胸のつかえとオーバーラップするのです。


~    ~    ~


生きねば。

先人は、平和主義を掲げ、戦争を放棄すると憲法に誓ったのです。

敗戦は、戦力は持たない。交戦権は認めないと9条に宣ったのです。

過ちは繰り返しませぬと、広島、長崎、沖縄の礎に刻み付けたのです。


美しくありたいとふるさとを愛するプライド。

自由と平和を求めたいと、世を謳うフィロソフィー。

朝な夕なに技能を磨き、日夜に勤しんでいるバイタリティー。

私たちは、そうして、どうしても生きねばなりません。


~    ~    ~


すばらしい技術は戦争に供与され、平和に活用され、人の暮らしに還元されます。

世相には停滞もあれば、風が立つときもあります。

ひとり一人の意思の力が、今もこれからも、未来の子どもたちから望まれるでしょう。


{netabare} 「政治家たちは子供たちのことにはまったく無関心です。でもいずれの日にか人道支援の政治問題化ではなく、政治が人道化する日がやってくるでしょう」
『オードリー・ヘップバーン物語』集英社、1998年5月4日。{/netabare}


私も、そう受け止めたいと思っています。

投稿 : 2022/07/05
閲覧 : 219
サンキュー:

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