退会済のユーザー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
本当の「愛してる」を知りたいあたなに。想い願いは叶うものと信じて…。
アニメファンで本作を知らない方は少ない京アニ渾身の永久保存版級名作で文句無く必見です。TV版 13話+OVA1話。劇場版2話構成。全て観ました。ご覧になるなら是非高解像度の大画面で!でどれだけハンカチいるんだいっ!てくらい泣けます。家で観て娘とボロ泣きし笑っちゃいました。
【概要】
作画の美しさは、この作品以上のものを私は思い当たりません。アニメの領域を超え、見惚れてしまう芸術的レベル。声優陣も素晴らしい!随所に無垢なヴァイオレットが「素でめっちゃツッコミ」入れるシーンは何度もクスッと笑えます。無意識おちゃめ♡
正直、高校生未満の若者や恋愛経験が無いと解りにくい作品ですが、恋愛アニメでは無い重厚なストーリーで息をのむシーンも多々あります。原作は小説で、文章をあそこまでアニメとして昇華できる制作は京アニだけでしょう。原作者 暁 佳奈さんは2020年、ゲーム版SAOアリシゼーション リコリスのシナリオを手がけています。
【本編・視聴ポイントについて】
TV版7話で劇作家に代筆を依頼されたヴァイオレットが、物語のイメージを表現しようと、湖に浮かぶ木の葉の上を跳ぶシーンの描写は数秒ですが、全身が震え毛穴が開くのを感じるほどの美しさです。まぁ…1番人気は10話ですが…。
ファンは女性が多く(感情移入できるからでしょう)最終章の劇場版は女性とカップルばかりで、オッサン1人で観るのは恥ずかしかったですが、暗くて助かったのは泣き顔を隠したい視聴者には大いに助かりました。ちょうど鬼滅の刃の劇場版とぶつかっていて、興行的には鬼滅の圧勝(好きですよ)ですが、ヴァイオレットもパンフもグッズもsold outでネットで予約しないと手に入りませんでした。
特筆したいのは「戦争」をバックグラウンドのテーマとしており、惨さ、悲惨さ、命の尊さをも切実且つ丁寧に本質を描いている点です。そして、アニメではどうしても解らなかったヴァイオレットの生い立ち…。なので原作を読んで知ったのは、ギルベルトの兄のディートフリート(海軍大佐)の軍艦が遭難し、漂着した孤島で、言葉も話せない動物の様な10歳程度の女子を拾った…。ということでした。でも、あの身体能力・頭脳は?誰に育てられてのか…産まれてるということは親は人間ってことだけど…。それは永遠の謎のまま…。さて、ネタバレはネットと各諸氏にお任せして、見所ですが、基本的には1~2話完結的オムニバスで、殆どがドール(手紙など文章をタイプライターを使って代筆するお仕事)としての依頼を受けた先、又はその過程を描いていますが、様々な出会いを通じ依頼者の心を文章として表現する事を重ね、人の心・心理を理解し成長して行きます。
ギルベルトとの関係や想いを描くために、軍隊所属当時の描写も度々描かれます。グロいシーンもあります。主役のヴァイオレットはもとより、登場するキャラ全ての心情・想い・願いが丁寧に描かれている点も良いです。本当の意味での人間の真理を描いている傑作です。願っていたギルベルト少佐との再会も…。最終章劇場版でハッピーENDです。
本編で描かれる各キャラ名が花と花言葉、他、キャラに合わせた命名で、ローマ教皇、皇帝、貴族、戯曲の主人公などに由来する点も原作者の拘り・志しが垣間見えて素敵です。
【2022年7月5日 追記】
ヴァイオレットは元兵士(軍人)であり、戦場で両腕を失い義手を付けています。1話のお茶を零すシーンで「アダマン銀」と説明されますが、実在しない金属素材で、ネットをはじめ、此処のレビューでもあの義手に違和感を感じるとの書き込み等を見て改めて調べました。
モチーフはアダマンタイト(アダマス、アダマンティウム)でギリシャ神話等に登場する非常に硬質な物質として表現されます。様々な物語ではミスリル、ダイヤモンド鉱石としても表現されていますが、何故この物語でヴァイオレットの義手にこの素材が用いられたのかは、実はアダマンタイトには「愛する石」という意味がある事が解りました。本作のテーマである「愛してる」の意味を理解するためにドールとして活躍するヴァイオレットに、義手のモチーフの意味を持たせた設定だと思えます。
この設定を知り、本作の時代背景と技術力がやや噛み合っていない感じから、現世の昔をイメージ設定したのではなく、私達の時代・歴史的流れとは異なる、類似した平行世界の時間軸の時代であると考えると矛盾が解消されるかもしれません。
【後書き】
テレビ版がとても素晴らしかったので、劇場版最終章のラストには少しだけ物足りなさを感じました。でも観終わって…ヴァイオレット…永遠に幸せにね…。そして私達は先達が築いた平和な世界に生きられて幸せだと言う想いと、この作品に出会えた事への感謝です。