てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
事務所所属新米アイドル路線の声優アニメ。薄さは否めないけど2クール可愛くて良い内容
声優事務所に所属する4人×4チームの16人の女の子たちの群像劇。全24話。
【良い点】
弱小(本作は新興ながら結構力ありそうだが)事務所の新米アイドル路線で、初代アイドルマスターに近い雰囲気。
可愛い女の子たちの会話劇や日常風景、一緒に夢に向かってがんばる姿を、ユルめに描写。
中々役を貰えなかったり、演技に躓いたり、各々の壁に葛藤しながら、成長していくドラマも手堅い。
本作の持ち味は真面目なドラマとユルい気風のバランスで、本格派のアイドルや声優物よりも甘いのは承知で、適度に可愛く楽しい雰囲気で見やすい。
「リアルとファンタジーの中間」な貝塚監督の方針か、本作はかなりファンタジー寄り。
リアルの新米声優はそんなに甘くない!のは承知だけど、これは空想の美少女アニメである。
視聴者は別にリアルをアニメに求めてるわけではない、真面目な業界の闇や挫折とか要らん。
そう割り切って、可愛い声優アイドルたちの交流と成長を心地良く見せるコンセプトは英断だと思う。
総じて浅くはあるが、手堅く24話楽しめる佳作に仕上がっている。
16人もいるが、4グループに分けて課題に取り組む構図により、グループ単位での特徴や親密な交流が出来ている。
うち1チームはアニメ初出演で各々演技に悩んだり、役への想いなどを描き、残りチームも雌伏の時を日常寄りのエピソードで繋いでいく。
日常寄りエピソードはキャラ付けや内面の成長イベントとして機能。
リアルとファンタジーのうちのリアルな辛さを甘々に希釈しつつ、それなりの葛藤や成長劇を見せてくれた。
メイン組だけでなく、雌伏が長い組のドラマも手堅かった。
声優お仕事アニメとしては収録現場の描写が良い。
過去の声優アニメよりも丁寧だった。
監督がイケボで存在感スゴイ。
声優たちは粒揃いの可愛さ。あざとい個性も。
個々の印象は弱いが、チーム単位で可愛いシーンが多い。
キャラデザはかなり可愛い。陽菜(はるな)ちゃんは特に。
絵的に可愛いのは大事、ここは本職アイドルアニメたちに負けていない。
アイドル、日常系、声優現場いずれも申し分ない描写。
声優陣は上手くないのを新米だからで持ち味に活かせた。
また楽曲は本職アイドルアニメに引けを取らない。
【悪い点】
良い点で擁護したものの、内容が浅いのも否めず。
弱小事務所の新米アイドルの割にトントン拍子のサクセスストーリーなので大分甘い。
挫折や葛藤はあるが相当に恵まれた環境で、あまり深刻さが無い。
そこはストレス少なく楽しめる長所でもあるが、キャラや話が印象に残りづらくもある。
特に盛り上がるような山場に欠ける。
24話を通して低空とは言わぬまでも中空飛行のまま、佳作で終わった感。
やはり良し悪しだけど、声優業界物としての見応えに欠ける。
人数多過ぎ、チーム分けで善戦はしたが16人のうち顔と名前を覚えられた子は一握り。
そこそこ可愛い子は多いものの、特に印象的なスター性のあるキャラはいなかった。
本作だけで見れば悪くないが、アイドル物の先達に似たようなキャラが多数いる。
声優陣は及第点だが、声でインパクト残せる程ではなかった。
【総合評価】6~5点
企画(16人もの新米声優アイドル路線で2クール)の段階で、薄く甘い佳作にならざるを得なかったのを、手堅く良作未満にまで仕上げた感じ。
流石はRe:ステージ!ドリームデイズ♪の制作陣、お見事。
力量が無ければ単に薄い駄作になりかねなかった。
尺が1クールではなく2クールあったのも良かった。1クールじゃ流石にダメだったろう。
至らなさは多々あるものの、2クール概ね可愛くて楽しめるアニメだった。自分は好き。
好きだけど、多分数年後には埋もれてそう…
評価は「良い」