九会 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
頑張る姿は応援したくなる。緒花のぼんぼり物語
P.A.WORKSの初代お仕事アニメにあたる作品
ストーリーはとある事情から東京を離れた主人公の松前緒花(まつまえおはな)が石川県の温泉街にある旅館「喜翆荘」で仲居として働くお話。
彼女は母子家庭で小さい頃から家事を担当していただけに、喜翆荘の仕事に慣れるのも早く、仲居としての技術的な成長というよりは自分探しや気持ちの整理がメインになっていたと思います。緒花は弱気になる事こそありますが、かなりガッツのある子で好きなキャラです。喜翆荘で働きながら、持ち前の真っ直ぐさで周りを巻き込んでいく姿やコロコロ変わる喜怒哀楽の表情は見ていて飽きず、喜翆荘の為に奔走する姿は健気で応援したいと思えました。頑張れ緒花、負けるな緒花!
一方で東京に置いてきた「孝ちゃん」こと幼馴染の孝一との関係は見ていて少しヤキモキしました。また言葉の表現などに時代を感じる部分も。緒花が空気が読めない部分があるにしても言葉が強いかな……。
しかしながら、作画は10年以上前の作品とはいえ十二分に良く、P.A.WORKSが背景描写に力を入れているのは今となんら変わらない印象を受けました。加えてアトリエシリーズで有名な岸田メルさんのキャラデザも可愛らしくて良かったと思います。キャラは多少ヘイト気味なキャラもいますが、皆立っていてそれを演じる声優さんの演技も良く、諏訪部順一さんや能登麻美子さんの御二方はイケメンや美少女ではなく、本作のコミカル寄りなキャラも上手にこなされていたと思います。他にも気丈な女将の四十万スイを演じる久保田民絵さんや最古参の電六を演じるチョーさんなどのベテランの声優さんの演技も作品を支えていたと思います。個人的な意見になりますが、お仕事シリーズは幅広い年齢のキャラクターが登場するので若手からベテランまで様々なキャリアの声優さんが出演している部分も面白いなと感じています。
総評としては恋愛部分の話はもう少しオミットしてもいいかなとは思いましたが、主人公の緒花のキャラが好きなので作品全体としては楽しめました。この作品がきっかけで行われるようになったイベントもあるそうで、自分もいつか作品の舞台を訪れてみたいなと思える作品でした!