てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良き80年代、硬派な暴走族(走り屋?)の爽やかな青春劇。1話50分超で全12話のOVA
【良い点】
神奈川湘南を舞台に、80年代の青少年の青春劇な作風。
ヤンキーだけど小粋で爽やか。
コメディーではないが雰囲気が明るく見やすい。
80年代湘南の雰囲気も、作画やBGMなどで表現。
主人公江口はケンカ最強なヤンキーだが学校では手芸部部長で陽気で優しい人気者で女子にモテモテなど、当時のワルぶった青春への憧れを嫌味無く体現している。
1話50分ほどあり、個性的な不良たち各々にスポットを当てて青春を丁寧に掘り下げている。
暴走族の生き様に誇りを持ち、社会に出て卒業した先輩を敬い、ヤンチャしてもいずれは卒業し、今は輝かしい日々を生きるんだ的な。
暴走族同士の抗争やケンカはかなりガチながら、堅気には迷惑かけない。
衝動のままに暴れて、互いに後腐れなく笑い合う。
主人公らが正義ぶらずケンカに明け暮れるのはビー・バップ・ハイスクールと同様。
後続の勧善懲悪ヒーロー色が濃い不良作品よりも好き。
昭和の青春物としてハイレベル。
青春の輝きは時代を超えて通用する普遍性がある。
退職する恩師の為にボクシングに復帰、ブランクを超えて奮闘する3話、
バイクにかける青春な6話、
日本語通じないアメリカ人少女サマンサと江口がひと夏の交流し、後に結婚しアメリカで暮らすサマンサが日本で会った少年を回想する10話が特に良かった。
江口のロマンスと並行して、グレて家族を泣かせるアキラと寡黙な父の想いを知る話も渋い。
エピローグでサマンサが出会った日本人が江口ではなくアキラ(面識なし)なのも良い余韻。
あんなに荒れていてアキラが後に夢を見つけてアメリカで羽ばたいていた。
「ツッパラカル」
ヤンキーの生き様を短編映画のように見せた10話は大変良かった。
【悪い点】
昭和の不良、暴走族の青春を好意的に描いた作風なので、色々と時代遅れ。
意地悪く見ると暴走族や乱暴行為の美化とも取れる。
この点は合わなければ見なくていいので欠点とは言えないか。
青春劇として綺麗な分、不良アニメとしてはやや地味。
群像劇な側面は良いが、個々のキャラの魅力や交流要素はそこそこ程度。
ヒロインは普通に可愛い昭和女子だがあまり印象に残らず。
キャラデザが古い。
声優陣は豪華だが兼役が多い。
【総合評価】8点
暴走族・ヤンキー漫画の嚆矢となった名作であり、また50分×12話のOVAとしては特大ヒットを飛ばした人気作でもあり。
地味さや時代遅れな面もあるが、色褪せない魅力も健在。
評価は「とても良い」