ato00 さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ナショナリズムからコスモポリタニズムへ
分割2クールの後半パートです。
地味な異世界アニメながら、国家や人類のあり方を考えさせられました。
本クールは、アミドニア公国との戦後処理から始まります。
アミドニア公国は人類宣言に参画している国なので、その盟主グラン・ケイオス帝国の仲介を受けます。
その中で、興味深い話があります。
人類宣言では現行の国境線の変更を認めていません。
だから、エルフリーデン王国がアミドニア公国を支配することをグラン・ケイオス帝国は容認できません。
このため、賠償金の支払いを条件とした講和になりました。
しかし、これによりアミドニア公国の人民は重税に苦しみます。
もともと、君主の圧政に苦しんでした人民はエルフリーデン王国に好意的でした。
なので、人民のことを思えば人民の自由意思を尊重して国の在り方を決めても良かったのではないかと思います。
要は、国へのあり方は人民が主体となって決めることで、為政者が勝手に決めた国境線は関係ないということです。
つまり、国ではなく人なのです。
ソーマ・カズヤはそのような思想の持ち主だったので、この講和は不本意なものであったのでしょう。
{netabare}古代より、ナショナリズムが当たり前のように思われてきました。
しかし、現代のような科学技術の発達した世界では、このような前時代的な考えは滅びの道となるでしょう。
これを克服するには、考え方を変え、コスモポリタニズムを浸透させるしかないと考えます。
民族、宗教、歴史、政治社会体制等、国と国との関係は複雑です。
ややもすれば、不幸な出来事も起こるでしょう。
しかし、今、コスモポリタニズムに立脚し、すべてのことを理性的に判断すれば自ずと道は開けてくる筈です。
それは高く険しい道ですが、それを成し遂げる知恵と勇気が人類にはあると信じたいです。{/netabare}
あと、この作品には、教育、就業の機会、技術革新、難民問題等もあり、何気にいろいろ考えさせられました。
また、今後、内政以上にグラン・ケイオス帝国等西側諸国との関係に苦労させられそうです。
さらに、魔族との共存への道についてもソーマ・カズヤは考えていると思います。
それは、魔族語を解せるトモエが最大の鍵になるとのことからも明らかです。
多分そこが最終着地点、つまり全種族のコスモポリタン化だと思います。
この作品、3期4期と続いてくれたら嬉しいです。
それにしても、ソーマ・カズヤは一体何人の妻を娶るんだろう。
そこだけは恨め羨ましいところです。