STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
特撮ヒーローへの愛を感じるが
原作は未読。
特撮ヒーローものなら秘密結社を、異世界ヒロイックファンタジーなら魔王側を、といった
感じで、通常敵役になる側を主人公サイドにする作品が増えてきている感があるが、本作もその
範疇の作品。
更に本作は秘密結社を一つの企業として描いており、そういう点ではビジネスもののパロディの
ようでもある。
そのため笑いだけでなく、組織論理に振り回される個人の悲哀なども感じられたり。
この辺はサイドストーリー的な水木 香恋を巡る展開も非正規雇用者の悲しみがある。
本作のように定番的ジャンルものにリアルな設定を加えるようなコンセプト自体は
結構好きだったりするんだけど、作品自体は秘密結社アガスティア全体に焦点を当てたような
内容になっていたので、主人公である黒井津 燈香の存在がやや希薄になっていた感があった。
それは黒井津の日常において近い位置にいたライバル的存在の剣神ブレイダーをも希薄に
していたように思える。
黒井津と、ブレイダーである佐田巻 健司に関しては、戦う相手でありながら、普段は
弁当屋の店員と客という、表と裏があるような関係性はドラマとしてもっと活かせたような気が
するだけに勿体無い感がある。
もっともその辺を推し進めると、すでに幾つかある正義側と悪側のロマンスものになって
しまうかも。
本作では現実に地方で活動するローカルヒーローが登場する。
それ自体は興味深いものだったし、終盤では戦いの行方を左右するキーポイントにもなって
おり、更にメタ的には一種の地域振興的な意味でも悪いものではなかったと思うが、基本的には
メインストーリーとは関わり合いのないもので、かつ毎話ごとのゲストキャラということも
あって、作品全体の印象を散漫なものしていたようにも思えた。
ゲストと言えば、毎話ごとに昔の特撮ヒーローに出演していた俳優さんがナレーションを
務めていたのも面白い。
特撮ヒーローもの的世界観の中、何故かヒーロー側に魔法少女が出てきたりするが、この
魔法少女のピリアマギアのキャストが田村 ゆかりと堀江 由衣の「やまとなでしこ」であったり
するのも面白いところ。
他にもヒーローものに対するオマージュやパロディが多々で、愛のある遊びが多い。
ただ、こういった愛のある遊びの多い作品は、「分かる人は分かる」といった内容に
なることが多い。
本作もそういった傾向にあり、特撮ヒーローものをそれほど観ていない人は置いてけぼりに
なってしまいそうな感じ。
2022/06/19
2024/09/04 加筆・修正