ひろたん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
子供から大人へ一歩成長する、その瞬間をたったワンシーンで描いて見せた貴重な作品
小学生の男の子が同級生の女の子を好きになるお話です。
キャッチフレーズは、「男子小学生の全力告白アニメーション!!」です。
主人公は、自分の想いを伝えるために全力で走ります。
最初から最後まで一直線な物語でした。
■妄想
この物語で何よりも面白いのは、その演出です。
主人公の現実と妄想が交互に描かれ、主人公の気持ちを「妄想」で表現します。
嬉しければ、花が咲き、鳥がうたいます。
悲しければ、花は散り、ガラクタが散乱します。
私たちが子供のころ、何かに夢中になっている時のことです。
自分は何者かになったような妄想をしませんでしたか?
速く走っていれば、何かに向かって駆け抜けているヒーローのように。
傘を持ってくるくる回していれば、それこそ魔法少女のように。
そこの小さい側溝を飛び越える時でさえも、まるで空を飛んでいるかのように。
子供のころは、自分を妄想の中に置いていたような気がします。
逆に子供だからこそ何の迷いもなくできた妄想なのかなと思います。
大人になるにつれて、何者にもなれない自分を知り、いつしか、妄想をやめてしまう。
そして、気付けば、現実でしか物事を考えなくなっている。
そんな乾いた心に潤いを与えてくれる、そんな作品です。
この作品は、現実と妄想を行ったり来たりする「童心」をとても上手く描けています。
■こうして、子供から大人へ一歩成長する。
主人公は、最後、告白しなければならないと決意するときがやってきます。
そして、好きな女の子のもとへ全力で駆けていきます。
走る、走る、そして、走る。
この疾走感の描き方は、とても上手いなと思いました。
しかし、実は、普通に考えたらとてもじゃないけど追いつけない状況なのです。
でも、主人公の想いを「妄想」がバックアップし不可能を可能にしてしまいます。
そして、ついに女の子に告白するときがやってきます。
頭の中の妄想では、告白はバッチリできそうだと思ったその瞬間、目の前に現実が。
さて、実際の告白は、いかに?
このシーンは、とても良いと思いました。
とても子供らしく微笑ましい結末でした。
その一方で、主人公は、妄想と現実とは、やはり違うことを自覚し始めました。
こうして、子供は、大人へと一歩成長するんだなと言うのがよく分かります。
それをたったワンシーンで描いて見せたのがすごいなと思いました。
■まとめ
子供から大人へ一歩成長する、その瞬間を描いた貴重な作品だと思いました。
私は、とても楽しめました。