nyaro さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
8話までは大人もOK。女児向け魔法少女アニメ史の進化の到達点です。
女児向け感がすごいです。まあ、アニオタでなければチェックしないでしょう。が、実際見てみると、実は8話までは普通に見られます。といいますか、これが結構面白いんですよね。
この2人が友達関係になるまで8話使うのが、なんというか自然なストーリーになっているし、女子中学生の恋愛事情というか心理的なものも、かなりリアリティを持って作品に落とし込まれていました。
そう。ヒロインが好きな男の子がいるとか、家族関係とか、そういうストレスがちゃんとありました。これが8話あるいは13話くらいまではかなり面白かったです。
それと、魔法少女ものの系譜なんですけど、肉弾戦なんですよね。ステッキ出して魔法の打ち合いじゃなくて殴り合いですね。いやー新しいですね。レイアースとかウテナみたいに剣はありましたけど、拳というのがカッコイイです。
大きなお友達の趣味ではない感じも見やすさになっていました。
26話まではキリヤというキャラがなかなか良くて話自体は悪くないです。大人にはちょっと辛いですけど。ここで打ち切りの可能性も考慮したのでしょうか。26話で一回話がきれます。
この後は正直完全に女児向けです。2人の関係に緊張感が無くなってしまいます。ラスト3話くらいでまたちょっと盛り返す場面もありますが、初めの8話の秀逸さに比べると比較になりません。
作画なんですけど、肉体のパースが強調されているのと、2人の立ち位置の構図がものすごいデフォルメされていて、迫力があります。これはすごかった。白と黒のデザインが活きていて、非常にいいですね。このページのキービジュアルを見ていただけると分かると思います。
OPは歌もなかなかカッコよくていいですが、OPアニメの映像は一つのドラマになっているし、迫力もあるのでかなり燃えます。
逆にEDも女児向けならではのなかなかほのぼのする感じでOPと対にすると楽しめます。
魔法少女ものとしては70年以前の魔法使いサリー、アッコちゃん時代から、82年くらいのミンキーモモ・クリーミーマミ、92年セーラームーンと10年ごとの変革の次、2004年の作品ですね。
ウテナで1997年にとどめを刺された魔法少女ものの反撃かにみえましたが、本作の変革をもって、女児向けの魔法少女は進化を止めてしまいます。で、プリキュアシリーズが延々と繰り返されるようになります。
2000年くらいから、玩具メーカー…だけのせいかはかりませんが、アニメにマーケティングが入り始めたんでしょうね。本作もいきなりカードリーダー的なおもちゃでスタートしますから。その影響が作品に出たのかなあという気がします。仮面ライダーとか戦隊ものと比べたほうがいいかもしれません。
魔法少女は大きなお友達経由で、同年2004年のリリカルなのは的な少女アニメの中の萌え要素が進化して、青年誌化深夜アニメ化してしまいます。(リリカルなのは、とか、さくら、レイアースのCLAMPは難しいですね。一応女児向けではありますが…大きなお友達の消費を意識している気もします…まあ、一つの系統だとは思います)
ということで本作をもって、赤塚不二夫、横山光輝、手塚治虫などが作った昭和的な魔法少女ものは死期を迎えることになります。その最後の輝きでしょうね。
前半は本当に面白かったです。
なお、ストーリーの評価は8話までは90点、13話までは80点、それ以降は前半は55点。後半は評価できずです。なので、なんとなくで3にしています。その他の要素はかなり良かったです。