てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
イカ娘、はたらく魔王様、まちカドまぞく…的な?可愛く楽しいコメディー
魔界の大幹部だった主人公の女の子が魔界崩壊で落ちぶれ、日本で下宿、居酒屋バイト生活をする。
はたらく魔王様的構図で主人公の態度立ち位置はイカ娘、ほのぼのコメディーはまちカドまぞく的?
【良い点】
設定がユニーク。はたらく魔王様という前例こそあるがまだ希少な作風、差別化も出来ている。
魔界No.2のジャヒー様の自尊心と凋落から見栄を張ったり不遇に泣かされるも、周囲の優しく楽しい面々との交流でシチュエーションコメディーが成立。
やさしい世界で悪意が無い。終盤シリアスと思われたが魔王と魔法少女の経緯の意外性で善意の物語に収めたのは見事。
不遇から地球の文物に目を輝かす異文化ギャップコメディーな側面も。ホームセンター回は白眉。
ジャヒー様が可愛い。大空直美ボイスが抜群に似合う。
不遇さとアホさと高い自尊心がカラ回りする様がサターニャを彷彿とする絶妙な可愛さ。
可愛らしい幼女が魔界大幹部の傲慢な態度、のギャップ…にもなっていない滑りっぷりが愛おしい。
魔石の魔力喪失で普段幼女、一時的に大人の女性になる設定もおいしい。
魔王様との関係は兵藤会長に尽くす利根川幸雄を彷彿。
ドゥルジに対する見栄や気苦労も中間管理職といえなくもない。No.2だし。
不遇に泣いてもめげずに魔界復興をがんばり、見栄を張り、徐々に順応し、善意に触れて成長していく。
揺さぶられながら良い方向に変わっていく過程が丁寧だった。
ストレスフリーなやさしいせかいとドタバタコメディーからの、道徳的にも良い内容。
ジャヒー様だけでなく、魔法少女が自己犠牲ではなく他者を幸せにできる事をジャヒー様との交流で学んでいく流れも良い。
可愛さ楽しさに加え、全編通して優しいテーマがある良作。
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃できそうな店長、妹で性格きついが実は優しい大家など善良なキャラ多数。
幼女こころちゃんは天使。
地球では大成功しているのに不遇なジャヒー様を慕うドゥルジとの掛け合いも笑える。
本人悪気は全くないが、ラフィとサターニャを少し彷彿。(配役的に)
そして敵対していると思われた魔法少女との交流はシャミ子と桃を彷彿、こちらも楽しかった。
キャラデザが申し分なく可愛い。
【悪い点】
シチュエーションコメディーとしては若干テンポが悪い。
はたらく魔王様やガヴリールドロップアウト等と比べるとギャグのキレが一歩譲る印象。
作劇の構造がジャヒー様の独り言多いのも、視聴時間が長く感じられる要因?
ジャヒー様以外のキャラ同士の横の掛け合いが弱い。
良くも悪くもジャヒー様中心に話が回る、ワンパターンという程でもないが、やや展開の幅が狭かった。
全20話という中途半端な話数、概ね面白いが、若干間延びした感も。
序盤は不遇さとカラ回りが先に立つせいか、軌道に乗るまで時間が掛かった。
結構ガチで不遇なので、全体的には優しい作風ながら多少の忍耐は必要。
その後の貧困ネタもあまり楽しくない。
サルワの扱いが悪い。(キャラ評価4.5→4)
ネタキャラとしては面白かったがワンパターン、他キャラとの絡みも乏しい。
回を重ねて復権(魔界時代の権威ではなく、現在の良好な対人関係)していくジャヒー様に対する当て馬な感じも。
後期OPがイマイチしっくり来ない。
歌詞はちゃんとテーマに即している良主題歌なはずだけど、具体的に説明できないが、違和感。
何が気に食わないのか自分でも分からない…
【総合評価】7点
斬新ではないが、ありそうでいて意外と無かったタイプのコメディー。
一品級の諸作品と比べると微妙な面もあれど、総合的には好きなアニメ。
尖ってはいないが故に安心して見られる良作かも。
評価はとても良いには一歩惜しい「良い」