STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
コメディ的空気の中で垣間見える冷酷さ
原作は未読。
テレビ放映時は同時期に放映された「現実主義勇者の王国再建記」が、「ファンタジー世界で
主人公が強国とは言えない国家の国政を担う」という似たような基本構造を持っていたために
比較して観るような感があったが、あちらが内政重視の印象だったのに対して、こちらは外交や
戦争など、外政に描写比重を置いていたため、だいぶ展開は異なっていた感がある。
また作品自体の空気感も本作の方がコメディ寄りだった感じ。展開自体はシリアスなんだけど。
両作品とも主人公が優しくありつつ、冷酷な面も持ち合わせており、きれいごとだけでは
済まされない政治の世界の厳しさを感じさせる。
序盤こそ、主人公が頭脳派の作品にありがちな、対峙する敵がお馬鹿パターンだったりするが、
後半以降はグリュエール・ソルジェストやカルドメリアなどなかなか食えない敵キャラも
登場してくるのが楽しい。
またニニム・ラーレイを始めとするヒロイン達も主人公賞賛要員に終わらず、なかなか優秀な
キャラが多い。
そのため、様々な事態打開も主人公であるウェイン・サレマ・アルバレストの独壇場とは
ならず、むしろチームプレイ的な印象。
展開自体は全体的には主人公サイドに都合良く流れていくことが多く、まあご都合主義では
あるのだが、作品の持つコメディ的空気感がなんとなくそういった流れを許しちゃう雰囲気は
ある。
あと内容的には結構殺伐した部分が多いのだが、この辺もこの空気感が緩和しているみたい。
コメディ要素としては、主人公の意図が周りに違って受け止められる、いわゆる勘違い系とは
異なるが、状況が主人公の思惑と異なった結果になってしまうところが笑いどころに
なっているのは同じ。
基本的には飄々とした雰囲気のウェインだが、ニニムのことになると豹変するのが印象的。
フラム人への差別に対する反感などもあるのだろうが、やはりニニムに対して思うところは
あるみたいで、恋愛部分に関してはニニム一択なのかな。
ウェインとニニムだが、前述の恋愛感情だけでなく、友情も主君と臣下の信頼も仕事相手と
しての信用など、全てを包括したようの関係性が凄く良い。
「この関係性、何かに似ているな」と思っていたが、よくよく考えると、「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」のイクタ・ソロークとヤトリシノ・イグセムだった。そう言えばあの
作品も主人公の知略戦が魅力の作品でした。
2022/06/15
2024/09/21 加筆・修正