nyaro さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
最後が惜しかった。その惜しさはテーマ的には致命的かも。
昔の妖怪人間ベムは主題歌とか名作アニメ的なものでしか知りません。「早く人間になりたい」で有名ですので、なんとなくテーマはわかる気がします。本作についてもそのテーマは引き継いでいたんでしょう。
リメイクとしては元となる作品の精神を継いだのでしょう。「人間になる」ための設定とか仕掛けとか行動原理はちょっとわかりづらかったですが、人間と共に暮らす、化け物も人間と同じ善性を持てる、などの部分が描けていたと思います。
それと対比するように人間の闇の部分が描かれていますし、結末までちゃんと描き切ったのはなかなかアニメ作品としては、クリエーター側にちゃんと作品を届けよう、メッセージを込めようという意図はあったと思います。ベラも可愛いですし。
ただ、だったらなぜ街の正体とラスボスを {netabare}ベガに背負わせてしまったか、です。ベガが人間の象徴だという風にも見えません。せっかく積み上げた作品のラスボスが非人間だったことにより、{/netabare}作品の背骨がぶれてしまった気がしました。
「人間に憧れる、人間になりたい」と「人間の正体、人間の中の善と悪、非人間と人間の融和」など描き切る素材はあったと思います。変な言い方ですが、真面目に作られた作品だからこそ、その瑕疵は大きかった気がします。
エピソードはハガレン?ジャミラ?とかまあ類似性はいろいろありますけど、それは些細なことですのでいいです。
低予算っぽい割には作画も頑張ったと思います。重力男の話とかちょっと展開と演出はええーという感じですが、筋の部分はよかったです。
面白いかと言われると、まあまあ面白いです。どちらかといえば3人がどうなるか、という興味で見させられた部分が大きいです。
それだけに最後が惜しかった。とてつもなく惜しいですね。そして、その惜しさがかなり大きな傷…はっきり言えばテーマ的には致命傷かなあ、という作品でした。
とはいえ、テーマの回収以外とテーマそのものへの取り組みは評価できると思います。