芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少し写実系に振ったまどマギ
魔法少女という言葉は出てこないが、夢世界で社会問題の悪のようなものを具象化したボスキャラと手勢をウェポンを使って倒していく、という魔法少女の系譜の作品。特に手下キャラの絵本的な表現やそこからくる戦闘のやや抽象的な感じはまどかマギカの影響を思わせる。
一方で、まどかマギカは劇的な物語展開が魅力の中核となっているのだが、こちらのストーリー展開は繊細で、登場人物の生活や機微の描写に重点を置いている。
あるいは、表現としてはフリクリにも似ているかもしれない。
幕切れで風呂敷をうまく畳めていないというような評価を視聴前に何度も見ていた。が、それでだいぶハードルが下がっていたこともあって、エンディングがしっくりこないということはなかった。確かに解決していない問題はあるが、一応ストーリーとしての区切りはついている。
ただ、多分視聴者としてはアイが「死の誘惑タナトスと戦うエロスの戦士」としてどうするのか、フリルとの因縁は、といった世界設定的な部分の解決を求めたかっただろうし、物語としてはその方がしっくりとまとまっただろう。
ただ、正直その辺を攻めると結局それこそまどかマギカの二番煎じのような視聴後感になってしまったのではないか、という気配があり、ああいう終わり方はそれはそれで現実感を持っていて、作品らしかったのではないだろうか。
独白がほとんどなく情報と行動だけが語られ、そのようなやり方が作品の気品を高めている。
一つ一つのテーマや設定はさして斬新ではなく、ストーリー展開もそこまで凝ったものではかく、さらさらと流れる作品で深い印象を残したということはなかったが、趣向としては嫌いじゃないし、それなりに質の高いアニメだったと思う。