神谷 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
感想
新世界より 感想
この作品が面白いと感じるかどうかは閉鎖的な環境。呪力という設定にある。人間が呪力を持っていて、その超能力を悪用されないようにきしきこうというものが存在する。そしてそのきしきこうは同じ人間を攻撃すると発動してしまう。
その超能力のきかない悪鬼があらわれると人間は人間しか攻撃できないために、殺しがなくなる。
そのため、そうならないように人権を18歳まで与えないようにし、それまでの子供の間は問題のある生徒は処分することができるまさしく専制主義的な国家のような設定に、恐怖感を感じるかどうかと言ったところにある。
私はこれが好きだが、これは一般的な考えとしてこの政府の政策をどう捉えるかによって重要である。
その閉鎖的な環境で、人権などが大幅に改定された世界で、ボノボ型の愛の社会が築かれているという新世界が流される。
ここからは感想になるが、
私はこの作品を見て思ったのが面白いが社会性に実現となると恐ろしくて非常に怖かった。
作者はこの社会を理想としているのではなく、おそらくはバケネズミが人間であったことを伝え、抑圧的な社会、閉鎖的なディストピアでは反乱のようなものが起きて報いを受けるのは人間の方だぞということを示しているのであろう。
私は原作を持っているが、この感覚というのを忘れたくないと思っている。
偽りの神に抗えというキャッチフレーズが、最終話音楽が流れたと共になんとも言えない哀愁感共に、世界に対する悲壮感と、この世界の仕組みに関する疑念感が湧いてきた。
ポイントはおそらくバケネズミは人間で、新世界に行かなかった人たちはネズミに変えて執拗にかんりしていたというところ。ぶっちゃけこれがなければ、スクィーラはただ悪いやつだと思ったが。
スクィーラは俺は無罪でいいと思った。
国家反逆罪的なものは死刑だが、この世界の仕組みを作った側、人間というがそういう奴隷で安く買いたたける奴隷を作って、それで管理させていたのであれば、私はそれを許さないし、奴隷的な商売的な社会システムを作るのはおかしいと思った。
特に私は犯罪者について庇う必要はないが、方法によってはこの世界では安楽死という方法を使って呪力が暴走された人間を消しているというわけだ。
見終わった時はおぞましい虚無感を覚え、絶望と共によく分からない感情が胸を打った。
これはSF大賞を受賞しているが、漫画やラノベに比べて小説原作というのはテーマに特化しているものが多い。もちろん商業主義という観点からいえば、成功と言い難いのかもしれないが、文学を読む機会が減る上に、アニメ自体が徐々に軽いものになっていっている、保守的な観点から言えばこのような古き良き小説作品をアニメ化するのはファン層を増やすことになり良い取り組みだと思った。特に物語というものが薄れているのであれば、文学重視をして徹底したアニメ業界のテーマ性重視した教育を行うべきであり、このような作品は非常に好感度が高い。
ただ、ボノボ型の愛の社会で、同性同士で性表現するのは、ボノボという生物がそうかもしれないがいまいち理解できなかったところでもある。
特にこの社会のポイントしては人間が便利になった代わりに、犯罪者について抑制が効かなくなった点で、そのために犯罪者対策にリスクマネジメントをとらないと言えなくなった社会。
リスクについて非常に敏感になっていると推察される。
私と理想する社会はこれとは違い、ミツバチ型の社会で脳同士を連結して、記憶などを共有して、女王蜂がミツバチを管理するように人間の脳にマイクロチップを入れて管理するという社会なのだが、ボノボという生物の外観と、その社会維持のシステムは非常に興味深く、超能力が発現する社会の作り方は非常にうまいと思った。
ただ作者の言いたいことはわからないが、おそらくスクィーラは元々奴隷として作られ、人間の安い労働力として使われたのであれば、フランス革命や権利章典に従って、知能あるものは最低限どの人権を有することは必要であり、国家の利益の追求、およびマギャベリズムを肯定することはいかせん悲壮感を感じた。
しかしこれこそがこのアニメの虚無感のあることであり、私的にはこのような社会構造について深く議論するにはこう言ったディストピアアニメなどを推進して読ませることが必要だと感じている。
文学の復興のためにアニメと組んで、アニメ化するのも一案であり、こう言った社会派アニメをどんどん積極的にアニメ化していくことが今のアニメ業界に必要でいると感じている。