てとてと さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
幼児向け番組出演者のブラックコメディー
MHK(NHKがモデル?)の教育番組の体操のお兄さん(31歳)が、子供たちの前では爽やかに接するが、実はブラックな職場で精神を病んでおり、時折毒を吐くのだった…
【良い点】
発想が面白い。純真な子供の前で猫かぶらねばならぬ立場からの闇を見せる。
ゲストの子供たちのキャラも良い、マセていたり、無垢故の無茶振りなど、絶妙な可笑しさ。
テレビ局特有の事情もあるけれど、職場や社会の理不尽さや闇は、社会人ならば共感できる。
テレビ局の舞台裏アニメでもあり、興味深い。
一歩間違えれば不愉快になりそうな作風だけど、絶妙なバランスで楽しい寄りコメディーに昇華。
後輩たちや歌のお姉さんとのコミカルな掛け合いで、楽しく良質なコメディーが成立。
理不尽が横行するブラック職場ではあるが、人間関係は良好なのが大事、終始楽しく視聴出来た。
先輩後輩の体育会系な理不尽さはあるものの、そこも軽妙なコメディーに転嫁。
後輩三人が三者三様な図太いタイプなのも良い。特に空気読めない陽キャな兎原か良キャラ。
ウザい彼ならば多少被害担当でも笑えていいかなと。
唯一能天気な兎原が清涼剤になるキャラ配置が上手い。
また不思議系男子ないけてるお兄さんも、回を重ねる程にうらみちお兄さんとは別ベクトルで病んでいるヤバさが垣間見えたり。
根底にうらみちお兄さんの誠実な人柄も大きい。
社会人として闇を抱え込んでいるのも真面目で誠実が故、どんなに辛くとも、子供たちの前では笑顔で接するプロ意識。
うらみちお兄さん含めてキャラの人生を丁寧に掘り下げている。
彼らは過去に挫折し、望まぬ仕事に人生擦り減らしている、それでも日々一生懸命に誠実に今の仕事に向き合う。
「誰かの為に生きられなくても、誰かのせいにしない生き方」
うらみちお兄さんのこのスタンスは尊敬に値する。
一見ネガティブだけど、社会人へのエール的な作品。
ただの義務感ではない、なんだかんだで子供好きで仕事に誇り持ってるんだろうなと伝わる。
それが伝わるからこそ、子供たちも闇を零されてもお兄さんに懐くのかも。
豪華声優陣。
神谷浩史氏は絶望先生よりも絶望してたり、杉田智和氏のウザさ、水樹奈々氏の割とギリギリな怪演などなど、声優陣の好演で面白さ倍増していた。
声優陣の歌唱力を活かした楽曲も魅力。
【悪い点】
面白いんだけど、一歩間違えると不愉快になりそうなネタなのは変わらない。
身につまされる部分は笑いづらい。
コメディーとしてはややワンパターン気味。
とはいえシチュエーションが目新しいのとキャラの良さでカバーされていた。
無能ディレクターには何らかのギャフンと言ってほしかった。
【総合評価】8~7点
ブラック職場コメディーなのに比較的愉快に視聴できた良作。
回を重ねると持ち味が増してくる。
評価はやや迷うが「とても良い」