にと さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
真の名作は何度見ても発見がある。
士郎正宗御大、神山健治監督による不朽の名作。
現実世界と相違ないインターネット世界の描写は、昨今の近未来を取り扱う作品のテンプレートとも呼べるほどの設定を作り上げた、そのような影響力を持った作品である。
また、兵器や武器にも最先端のものを取り入れ、光学迷彩や多脚戦車など、1990年代に描かれた漫画とは思えないリアリティを感じ、そのモデリングや描き方も、作品の没入感を増している。
では、ここまでの没入感やリアリティはなぜ生まれるのか。
ひとつは、主題ともいえるテーマの掘り下げ方。脳を機械に置き換える(作中では電脳化と呼ばれる)ことで、その人間の意識、魂はどこにあるのかという命題は、現代でも多く描かれるポピュラーな問題を、どのように取り上げるのかぜひ注目して欲しい。
また、機械に魂は宿るのか、作中のタチコマというAI搭載の並列化された多脚戦車(つまり感覚や学習が互いに同期される自我を持った、ように見える機械たち)が、段々と人格のようなものを得ていく様を作中で見ることが出来るのだが、その結末は一言では語り尽くせないものであった。
そしてもうひとつ、一話完結で描かれる刑事ものとも言える、人間ドラマのような作品の描き方が大きく影響しているように感じる。
タイトルの回収にはなるが、特に初期の数話に関しては、二度三度見て、ようやく意味が理解出来るものが多い(当方が稚拙な見方をしているので、場合によってはもっと早く理解できそうな気もするが)。
タイトルや本編に散りばめられた伏線を回収していくのは、作品の世界観により深みを感じ、ミステリーを見て謎解きをするかのような、あの独特な感覚を味わえるかもしれない。
是非、一度とは言わず二度三度見て頂きたい作品である。
また、解釈に困った際には、解説するサイトなども多数あるので、そちらを見ながらだとより早く楽しめるかもしれない。
拙文ではあるが、作品の魅力が少しでも伝われば幸いである。