nyaro さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
業界ネタとおっさん達のキャラが良かった。ヒロインその他5人組は…いる?という感じでした。
業界ネタとおっさん達のキャラが良かった。ヒロインその他5人組は…いる?という感じでした。
初めに見たとき、金髪のトサカ野郎がどうしても見てられなくて2話切り。2回目が3DCG対手書きのパートの話の畳み方がご都合主義でなんじゃこりゃで5話切りしました。
さて、本作については導入が肌に合わず評判に関わらず長らく放置していました。が、思い立って再視聴。5話乗り越えたらなんとかなりました。
先に悪口を言っておくと、5人の夢的なものが畳めていない。そもそも友人である必要もないし、高校時代のアニメ制作の経験が全然物語として生きていない。声優の子が {netabare} 最後のところに採用される{/netabare}のも伏線はありましたが、あの先生との絡みのドラマが中途半端で緊張しなくなって力みが無くなったから?という感じです。
後半の新人制作やあの眼鏡の男の制作が活きてませんでした。デスクの脚を引っ張るだけでした。成長物語や逆に大トラブルが描き切れていればいいんですが、面倒なだけで中途半端です。
後半のマンガ編集者も当初から{netabare}原作者とのコミュニケーションについては {/netabare}オチは予想がつきました。業界あるあるかもしれませんが、ピンチのためのピンチが多くて、尺伸ばしとはいいませんが、断片的でヒロインが危機に陥っている感が前半ほどなかったですね。
社長と杉江さんがすごい人だったというのも、1話2話で予想が完全に予想できるレベルでベタでした。
ここはためになった点ですが、やっぱり業界あるあるは見ていて楽しかったのと同時に、非生産的過ぎて驚きました。話には聞いていましたが、外的要因より内部のせいでブラック企業になっているのが意外でした。自業自得じゃんという感じで、あの車だけの3DCGソフトの会社の考えをもっと深掘りすればいいのに、と思いました。
アニメ業界がちょっと心配にもなりました。クリエーターの子供っぽさとかこだわりはわからなくはないですけどね。
ケーキ屋に転職するところ、もっとアニメータの悩みとして踏み込んでほしかった。それと、あの後半の嫌な制作の結末をもうちょっときちんと描いて欲しかった。デスクが上手く丸めてだけでは、じゃあ彼は何のためのキャラなの?という感じでしたね。
変な言い方ですけど、話としてはストレスがたまるし、そうはならないだろう、とかご都合主義すぎるだろう、エピソードのためのキャラ造形のデフォルメがきつすぎだろうとか、いろいろ欠点は目立ちます。
それといつの間にかヒロインに感情移入できなくなっていました。前半からちゃぶだい返しくらいまではまだヒロイン感はあったんですけど、その後はトラブルとゲストキャラ対応になってモブになっていました。そう、ヒロインに緊迫感が全然ないんですよね。前半はまだひょっとしたら落とす?みたいなドキドキはあったんですけど、進行が上手くいかない、と言葉で言ってるだけで危機感も緊張感もなかったですね。
それと女子の顔がほぼ同じで、これはないだろうというレベルでスタンプ顔(要するにデザインが一緒)でした。しかも、前半の劇中劇のキャラも同じ顔で、これは参りました。本当に辛かったです。男の顔のかき分けのレベルと比べて髪型と髪の色だけじゃん、という感じでした。
対して、男の造形は味が合って良かったですね。キャラも立ってて面白かったです。これはひょっとしてモデルがいる?庵野監督だけはわかりましたが、女子の非人間感と比べると全然おっさんが良かったですね。あのゴスロリの子だけは良かったですけど。(ツインテールの制作の子も良かったかな)
これは気のせいかもしれませんが、12話と13話で背景とか作画でちょっと雰囲気がかわりました?まあ、雀卓は意図的に高級店と大衆店をかき分けたんでしょうけど、夜メインと昼のシーンだったからかなあ。
ということで、悪口を上げだすとキリがないです。ただ、なんで完走できたかといえば、このサイトにアニメのレビューを書くようになって、アニメの業界とか仕事のやり方に興味がでたから、だと思います。
そういう点では非常にためになったので、そっちの視点でのお仕事物としては悪くなかったです。
良いところは、杉江さん、よかったですね。{netabare} 夜会社に乗り込んで状況を収束させるシーンは{/netabare}かなり感動しました。ここがあるので前半はしまりましたね。最高の見せ場になりました。
あとゴスロリのキャラデザの子。存在感がすごいと同時にいいですね。非常にいいキャラでした。後進を思いやる気持ちとか、創作物に対するこだわりとか、見ていて非常に気持ちのいいキャラでした。
あのぬいぐるみ2人。おそらくはヒロインの内面なんでしょうが、時折視点が変わって視聴者に対する説明役になっていましたね。あの2人がもうちょっと上手く使えなかったかなあと。ヒロインの内面を表現したり葛藤を見せたり、マイナスの感情、ダークサイドを表現するのにうってつけだと思うんですが。
総評すると、業界の紹介ものとしては面白かったです。いままで知識として知っていたことが生々しく確認できました。セルアニメ以後のCGと手書きの中間期のアニメ制作を俯瞰することができたのは非常に有益でした。
あと、おっさん達のキャラが立っていたので、一つ一つのエピソードは結構面白かったので、全体としては飽きずに見ることができました。
ただ、ヒューマンドラマが事件事故の積み重ねで、深みが無かったです。焦点をあてるべきヒロインを使いきれていなかった感じです。
ヒロイン以外では、初め高校のアニメ制作5人組の成長がまったく描けていません。声優の娘は成長を意識できていましたが焦点がぼやけすぎていました。
特に前半にくらべて後半の方が飽きたかなあ。それはヒロインがモブになったからだと思います。
キャラデザの女子がほぼ同じ顔なのは何とかしてほしい。作画は奇麗だし、業界あるあるを表現するのに職場の作画に手抜きがないのは良かったです。
自身の業界ものって、1発だけなら面白いのが描けるんですよね。私小説もそうですけど。この作品だけみると、他の職業ものが上手くいく感じはないですね。深さが足りないのは前述の通りですが、職業紹介としての工夫がないです。エピソードがあるだけです。
アクアトープがああなったのもちょっと原因がわかった気がしました。
追記 そうか…おっさんはモデルがいるから生々しいし、活き活きしていてエピソードも面白いと。それと比較するから女子に虚構感があるんですね。キャラデザも同様でしょう。
あまり取材しなくても目の前に素材はありますもんね。なにせ私小説ですから。最大の業界あるあるが締め切り間に合わないという事なのでしょう。だから前半はまだ面白かったし、それに奔放されるヒロインにまだ感情移入できたのでしょう。ですが、締め切り遅れる…という、話の軸が前半で既に枯渇した。
だから後半はキャラを理由をつけて大幅に入れ替えて、事件を起こすしかなかった…という感じでしょうか。でも、2回目だから、エピソード集になってしまい、ヒロインがモブになったんですね。