てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
25分弱のSF監獄脱出劇。尺不足故の物足りなさはあるものの、かなり面白い
「交響詩篇エウレカセブン」などで知られる佐藤大脚本のSF脱出劇短編。
いつの間にか密閉施設に隔離された男女が、徐々に真相を知っていく。
【良い点】
密室脱出劇の王道で分かり易い。
キャラたちがどういう状況か戸惑いながら、極自然に探索から状況を開示、会話劇と状況進行で飽きさせない。
キャラは個性や立ち位置が明快。
軍人が真面目にリーダーシップ取って(相手にされないが)探索、各々の技能でテンポ良く探索が進行。
皆終身刑?で人生終わっている為か、軍人を除きあまりガツガツしてないというか、何となく無敵の人めいた呑気さが特徴。
このためか余計な軋轢でストレス掛からず、良くも悪くも淡々とテンポ良く進行していく。
後半明かされる真相と後味の悪い結末も、ブラックな皮肉と風刺が効いている。
実は人類滅亡させるウイルス感染者を隔離、大を救うための地上の上層部の選択であった。
1機しかない脱出艇に誰が乗る?老人「お前らは等しく価値がないように見える」
ならば運に任せよう…結末は…人類皆等しく価値無し…?
テーマをうまく言葉に出来ないけれど、考えさせられる良短編だった。
作画はCGの無機質さが作品の雰囲気に合っている。
無駄なBGMに頼らず、ラストの黒猫のタンゴの皮肉な余韻も良し。
【悪い点】
良い点でもあるけれど、登場人物の肝が据わっていて、あんまり切迫感や絶望感が無い。
そのため真相開示の驚きも淡泊。
終盤の1機の脱出艇を巡る運勝負する展開も、切実さが乏しい為か、あまり盛り上がらず。
尺の都合で仕方がないが、キャラの交流掘り下げの余裕が無い。
そこそこ個性的だが役割通りの域を出ず。
ここがしっかり描写されていれば二段階は良作度上がっていた。
【総合評価】6~5点
完成度の高い短編アニメ。
後味悪いブラック風刺なのにスッキリした視聴感。
1時間せめて40分あればもう少しキャラドラマも見せてくれそう、惜しい。
評価は「良い」