nyaro さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
大自然、野生動物、アイヌ文化…の皮をかぶった猟奇もの。
北海道とアイヌものということで、もう少し大自然とか動物とかとの格闘のようなものを期待していましたが、どちらかといえば戦争帰りの人間たちの闘争がテーマでした。
もちろん、ヒグマとかシャチとか狼とか出てきますが、思っていたよりあっさりでした。コミックを数巻確認していますが、もっと動物の話とかアイヌの食事の話があった気がしたんですけど、原作をカットした感じです。
それと不思議なくらい寒くない画面でしたね。凍えるような冬の北海道の寒さが伝わってきません。なので緊迫感と緊張感がないです。これは原作からそうだったので何とも言えないですけど。
作者は恐らく「羊たちの沈黙」を見ている気がします。杉本が腹をやられて逃げるときのトリックはハンニバルレクターの手口ですし、人間の〇〇とかそういう部分がそのままですね。何よりマインドですね。
グロ、リョナ耐性が必要かもしれません。エリザベートバートリ(検索超注意です)的なエピソードもありました。ヒグマの三毛別羆事件(検索超注意です)とか大好物なんでしょう。
つまり、原作者には猟奇殺人の趣味嗜好がありそうで、ちょっとお友達にはなりたくない感じです。
ロシア戦争後、開拓民の気質を残す明治時代後期の北海道。大自然の驚異と絶滅した種も含む野生の動物たちの生態。黄金を求めての大冒険浪漫。アイヌ文化とアイヌの少女との交流…壮大なストーリーが始まる…とか騙されてはいけません。
そういう舞台設定の皮をかぶっていますが、本作の本質はリョナグロです。そういうものを描きたいからこういう時代のこういう話にしたんでしょう。エンタメとして表の顔を中心に物語を追うと、面白いのは確かですが、正直血なまぐさくて胸がいっぱいになるし、そこに「生」の残酷さを表現するようなテーマ性があるように見せて、本当のところは完全に原作者の性癖な気がします。
万人にお勧めできる話ではないです。アニメ版はマイルドなんだと思いますが、この話が今3期まで進んでいるのがちょっと信じられないです。