退会済のユーザー さんの感想・評価
2.3
物語 : 1.0
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
終盤の展開が……
ラブコメの金字塔として評価が高いと聞き視聴したが、自分にはささらなかった。
(前稿が目も当てられない拙文だったため以下加筆)
16話までは非常に面白く、クリスマスパーティーのくだりも竜児・大河・櫛枝の心情がよく描かれていた。
櫛枝の態度がずっと曖昧すぎる点と亜美がアドバイザー役にされてる点にはイライラしたが、修学旅行で2人がそれぞれの思いをぶつけ合ったためある程度スッキリした。残りの4話でキャラクターが自分自身と向き合い、「それまで積み重ねてきた時間を踏まえて」各々の答えを出すのだと思ったが…
結果:{netabare}
櫛枝は過去の曖昧な態度を棚にあげ竜児に謎の大説教、竜児もこれといった心情変化の描写がないまま大河を恋愛対象として好きになり結ばれる。亜美は相変わらず補助役のまま。そして進学してほしいと言う母親に怒りをぶつけ駆け落ち宣言、最終話で大河とロマンチックな雰囲気で夜にキスをしてその後大河は学校に来なくなり卒業式の日に再会。
完。
というラスト4話の展開が急すぎて全く飲み込むことができなかった。
視聴後あまりにもモヤモヤしたため、どこに納得できなかったのか考えてみた。
1. 櫛枝と亜美について
まず櫛枝はどの面さげて竜児に説教たれてんだと思ってしまった。恋愛関係が拗れた元凶は彼女の曖昧な態度にあるため、竜司に対する言葉に説得力が感じられない。大河に対して遠慮してたと言ってはいたが、それが結果的に大河に苦しい思いをさせていたことは分かっていたはずでは?単に直情的なやりとりが見たいわけではなく、重要な場面だからこそ、キャラクターには過ごしてきた時間を裏切らない適切な行動をしてほしいと思ってしまう。
亜美も最後までメイン4人にレールを敷くための補助装置のような役割しか与えられず、時折心情を吐露するだけで、亜美が竜児を好きになる要素がストーリーでうまいこと使われていない。お膳立てをする立ち位置なら亜美である必要は果たしてあったのか疑問である。ラブコメはキャラクターそれぞれが主人公であってこそ面白いと思うし、ましてや亜美はメインキャラなのだからもっと心情の掘り下げと恋愛パートへの絡みが見たかった。
2. 竜児について
この作品で一番細かく描写しなきゃいけないはずの、竜児が大河を好きだと自覚する転換点の描写がほぼない。
恋愛作品において好きな相手が変わる場合、心情変化の境界線が明確かつ遷移のグラデーションが鮮明であるほど深く感情移入できると思うのだが、本作はそこの表現が弱かった。
原作の方は丁寧に記述されてるらしいので、これに関してはアニメ版の問題なんだろうか。
加えて、竜児が「ちゃんと生きれなかったのは自分だろ」と母親にキレて駆け落ちする展開は非常に不自然であった。ここが一番のモヤモヤ。
キレること自体はあり得ないことではない。前提として進路への不安や、自分のために身を粉にして働く母親を解放したい思いがあるのは分かるし、それ故頑なに進学を拒否しようとする気持ちも理解できる。高3受験期という過渡的な状況もあり、能天気な態度の母親を見て、通常時の竜児であれば絶対に言わない言葉をぶつけてしまった。ここまでは納得できる。
しかし、その結果が家出→大河と結ばれるために駆け落ちだと、先のやりとりが一気に安っぽいものへと成り下がってしまう。母親を傷つけたことや進路よりつい最近好きだと気づいた(しかもその描写が薄い)大河を選ぶという行動原理がどうも納得できないのである。
ここまで急展開だと、駆け落ちする展開を作りたくてキャラクターにそう言わせてるようにしか見えなくなる。竜児の生い立ち、今までの生活、母親との関係、そういう普通の家庭とは違う積み重ねてきた時間があった上で、1人の人間としてどう行動するのかを考えて物語は構成されるべきだが、本作終盤の展開はこれが破綻しており、悪い意味で作り手の意志がチラついてしまった。
{/netabare}
気にしすぎか理解不足なだけかもしれないが、自分には総じて終盤の展開が不自然でならなかった。
途中まではめちゃくちゃ良くてもラストで失速する作品はもう一度見ようと思わないので、総合評価はかなり低め。