てとてと さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ディストピアSFでコミカルな逃がし屋アクション?
谷口悟朗原案・賀東招二脚本の3DCGアニメ。全12話。
AIによる管理社会で「クラスタ」なる地区単位で人々が暮らす世界で、別のクラスタに逃げたいゲストキャラたちを、主人公ら逃がし屋が幇助する過程でドローンと銃撃戦バトルする感じ。
【良い点】
面白そうな世界観設定。
ディストピアを匂わせる割には作風がコミカルで軽妙。
ゲストの事情が深刻な割には傍から見ると可笑しく、バトルも危なげが無く、コメディータッチ。
あまりシリアスじゃないアクションコメディーとしてそこそこ楽しめる。
逃亡をネガティブではなく人生切り開くポジティブに捉え、ゲストの背中押す感じの作劇。
終盤以前は1話完結、掴みどころは無いが、ユニークな話が多い。
リアルではあり得ないギャグめいたノリは初見戸惑うが、世界観的に実は…を踏まえると理屈は通っている。
4話のペンギンたちの自由主義と共産主義の話が、コメディータッチな風刺回で一番面白かった。
4話ほどではないが、毎話何らかのテーマ、風刺やメッセージを感じる。
逃がし屋たちはそこそこ個性的。
リーダーでいかなる危機にも動じない温和なエクアを中心に、エクア先輩ラブなスライム娘マルテちゃん、ツンデレだが一番常識人なフェレスの二人の百合コメディーも良い。
特にマルテちゃんは自分好み。(キャラ評価+0.5)
速水奨ボイスの真面目なロボット・アルガが一番キャラ立っていた。
キャラデザは可愛い。マルテちゃん好み。
アクションも中々。
【悪い点】
世界観も作風も掴みどころが無い。
ゲストの悩みが現実離れしていて、コミカルに茶化すのもあり、ドラマとしてどう捉えていいのか戸惑う。
コミカルの中にテーマやメッセージ込める個々の話は悪いわけではないけれど、面白さは微妙。
世界観を伏せて後で開示して驚かせるか、早々に開示するのか、中途半端。
前者は8話で唐突に明かして淡々と進行、後者は前半の奇天烈なコメディーに戸惑う要因。
本作の世界観は過去作だと「ガラスの花と壊す世界」に近いイメージだけど、作劇に効果的に活かせていない。
早々に明かす前提での作劇ならばガラスの花と壊す世界や「デカダンス」などは手堅かった、本作は開示が遅い。
大方の視聴者は前半で戸惑うоr飽きるだろうし、世界観重視タイプも8話まで見ても期待した程盛り上がらない。
真相を後半に明かして驚かせるタイプ(谷口作品の「バックアロウ」とか)としては8話以降が淡々とし過ぎている。
9話以降若干の盛り上がりは見せるが、中途半端に終了。
8話のゲストヒロインとの切ないエピソードは良かったけれど、以降に活かされず。
キャラの交流掘り下げも不十分。個性的な割に地味。
狼獣人とか殆ど空気だし。
エクアの悟りきった性格は頼もしくはあるが人間味に乏しいためか、ゲストの背を押す発言に説得力が乏しい。
結局エクアに関する秘密や内面の掘り下げが乏しいのが問題。(キャラ評価0.5減)
またゲストのドラマも、コメディーに振っているのが良し悪し。
見やすい反面、ドラマが浅薄。
アクションシーンは悪くはないが、単調。
毎度同じような銃撃戦と逃走劇でメリハリが乏しい。
【総合評価】3~4点
全く面白くないわけじゃなかった。酷評寄りだけど、嫌いじゃない。
評価は…普通で。