出オチ さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
なお病院に間に合っても間に合わん模様
●物語について
クラナド世界の学園生活とはどういうものか、岡崎朋也と古河渚を取り巻く関連人物との結びつきを油断なく磨きあげ強固に固定していく1期と違い、バイオレンス味が強い2期となる。
素行不良や無断欠席のパフォーマンスで有名な我らがご存知、終身名誉居候(どっかの妖狐みたいですね)岡崎朋也と古河渚カップルが草野球を経験するキックオフから物語が始まる。これには大正義スメルズ・ライク・ティーン・スピリット軍監督も大敗北。なお次の試合には間に合う模様。
2話~4話は春原にフォーカスを置いた話だが、ある程度の経緯や原作プレイ済であればスキップ推奨。春原との友情は1期で散々研磨してきた訳だから3話も使う必然性が無い。サッカー部も原作じゃ殺伐とした雰囲気だっただけであそこまで記号的ではなく春原にも非はあった。いじめの描写無かったよね。岡崎サイド、特に春原妹や岡崎の行動に問題があるため感情移入もしづらい。視聴者からすれば「春原をサッカー部に再加入させて誰が幸せになるんだよ」がパブリックイメージになるので、感動よりも不快感の方が個人的には強かった。
5話~6話は美佐枝さんと志麻賀津紀のお話。個人的には一番好きな話。片思いが両思いにステップアップしなかった美佐枝さんが不思議なキャラクターの志麻賀津紀と恋に落ちる話だが、真相を知れば知るほど悲しくなるメリーバッドエンドな話。美佐枝さんからすれば救われたんでしょうね。
7話~8話は有紀寧のお話だが、視聴不要。学校にチーマーが入り込んだりチーマーの集会所に潜り込み悪い意味で揉まれていくシーンは個人差あるだろうし、自分は全くと言っていいほど合わなかった。オチとしてはチーマー同士の抗争が手打ちとなっただけで、岡崎朋也に訪れる苦難の幇助になる訳でもない。「・・・という事があったんすよ」「そうか」と芳野さんとの昼飯の雑談程度にしかならない。こんなアニオリ挟むぐらいなら秋生ルート観たかったな。
9話から本格的にストーリーが起動する。卒業後の進路が決まらないまま卒業後、渚の留年を見届けながらパン屋のバイト。以降は芳野さんが勤めている会社で電気工事士として就職。居候も辞めて一人暮らしを開始。社会の荒波に揉まれながら、慣れない仕事に体が悲鳴を上げながらも、帰りを待ってくれている古河渚という心の拠り所で頑張り続けていた。「どれだけ仕事が辛くても渚が家にいるってだけで心の支えになる」は既婚者にとっては深く刺さる本心である。
卒業した渚は岡崎と結婚し、ファミレスのアルバイトを続けながら出産のイロハであり必要な知識・資材を纏めていた・・・。が、出産と同時に死亡。病院に間に合っても渚の死亡は避けられない(詳しくは考察サイト)ので、散々OP・EDで擦り続けてきた謎の人形のお話に視座を向ける必要がある。
不意な提案により旅行を決定づけられるが、旅行先で岡崎父の身内に遭遇。同じ境遇に直面した岡崎父の昔話を聞いた岡崎朋也は汐を育てる事を決意。18話の「ママってどういう人だったの・・・?」は、一番感動するシーン。
以降は岡崎父と和解し、次は故郷で合うように約束。ここから本格的な子育て物語が始まろうとしていた。(でも逮捕で出世話を潰すのは)いかんでしょ。汐も渚と同様に謎の病に侵されており、看病の為に退職。逮捕歴のある父親を持つ岡崎に「いつでも戻ってきて欲しい」と送ってくれる芳野さんの会社で本当に良かったと思う。赤坂アカが原作だったら子供同伴で出勤しろと言われそう。
最終的には汐も同様に死亡・・・する訳だが、ここからの所謂夢オチ(夢オチではない)は考察サイトや原作をしっかり理解しないとさっぱり分からないと思うので確認必須。
●総評
泣きアニメとしては最高峰の物語であり、記号的なキャラクター達の掘り下げもしっかりされているため味付けも上等に仕上がっている。ラストや光の玉も掘り下げれば掘り下げるほど真相が明るみとなり物語の重厚さが手に伝わってくる。作画も音楽も素晴らしく、特に後者は感情移入させるにはあまりに自然で暖かい心持ちを与えてくれる。やはり18話ラストはkey作品でも屈指のシーン。
しかしながら、キャラクター単体を掘り下げるストーリーのクオリティは1期で掘り下げられたキャラクター(智代、ことみ、風子、渚)と比較しても格段に落ちる。賀津紀の話は好きだが、春原・有紀寧は個人的には無くて良かったなぁ。