螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
雰囲気は悪くない。イレイナの人間味の無いキャラ造形が原因で話が微妙なのが致命的な欠点
魔女になった少女イレイナが国を渡り歩きながら世界を旅するという内容です。ライトノベル原作。
話の流れはオムニバスもどきの1話完結型で、主要キャラクターの関係、設定以外のエピソードは次回以降にあまり持ち越しません(12話除く)。
基本はコメディが主体ですが、時折激重なシリアスが入ってきます(3、4、9話)。これらのエピソードの結末を巡って物議が醸されていたのは有名です。
良い点
コメディ部分はなかなかの出来。
サヤやフラン、シーラなど、魅力あるキャラが多い。
濃厚な百合描写。11話の入れ替わり回は特に面白い。
作画が良く、主題歌も作品が持つ利点の一つである牧歌的な雰囲気を強く押し出している。
悪い点
主人公兼観測者であるイレイナを作者が扱いきれていないのが強く伝わってきます。彼女がどんなキャラか掴みづらいのが一番の難点で、基本的には傲慢な性格であり鼻につきやすいのもあって共感し難いです。3話の見殺しでイレイナは他人に無関心という描写がなされたが、9話だと無関心のくせに他人を助けられなかったことに関してなぜか自責の念に駆られているという、これまでと矛盾した描かれ方がされている。ちなみにエピソードを通じた彼女の心理的な成長はほとんど無いです。
イレイナの観測者的な立ち位置が災いし、主人公にもかかわらず率先してストーリーに関わることが皆無です。大体サヤなど、他のキャラに頼まれてから行動を起こします。
3話、9話はそもそもイレイナ云々以前に単純に出来が悪い。3話はそれぞれのエピソードが10分強で片付けられる程軽いとは思えない。1話ずつかけるべきだった。それにビターエンドにするにしても感情的になったイレイナが手遅れになった人間ごとモンスターを焼き尽くしたりとか、苦々しい想いに駆られながら奴隷とご子息の自殺を手伝ったりとか。もっと印象に残しやすいやり方はいくらでもあります。
9話は論外。被害者だと思った幼女が実は人間性のかけらもないシリアルキラーでした!という誰得展開。展開的にも非常に読みやすく、シリアルキラーに動機なんて無いからしたことに対して納得のしようもないです。他作品にもそういうのはいるけど、曲がりなりにもそうした行動に出るだけの信念や狂った理性というものが感じ取れます。ちなみにこの話にはそういったものは無いです。
雰囲気とかは悪くないんだけど、明らかに駄目な回があるので総合的には凡作だと思います。