たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「ポストヒューマン」の設定が弱い
機動戦士ガンダムシリーズにおける「ニュータイプ」思想に酷似した「ポストヒューマン」ですが、「人類の更なる進化と調和」というテーマは古典SFでは多く存在し、アーサーCクラークやロバートAハインラインなどでも「幼年期の終わり」や「異性の客」では「異星人」として登場します。
コロナウイルスや国際政治の分断、ウクライナ問題によって我々個人が身体的に保てる情報のキャパシティがオーバーフローしてしまっている昨今、こういった「ニュータイプ」的な人を渇望する発想はわからなくもないですが、初期の士郎正宗の「アップルシード」でもさんざん問題にされてきたので、目新しさがありません。
攻殻機動隊の数十年後の未来がアップルシードなわけですが、そこでは新人類の人工生命体「バイオロイド」が既に人間社会の大半を占めていて、協調性や身体性、生命力も人間の10倍位の能力を持った新人類が人類を超えて頂点に立つ描写が描かれます。
しかし現実の我々の社会は情報の多様化、細部化によってもはや「一億総中流」共同幻想が抱けなくなっている昨今。他者への共感能力が薄れて、個人化、少子化、高齢化が先進国の重大な国益の問題にまで発展している世の中では、「ポストヒューマン」もまた「幻想」の一つにしか感じられませんでした。