てとてと さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
怪物に転生してサバイバルバトルする異色の異世界バトル系。抜きん出た魅力があるが欠点多し
全24話。なろう系のクラスごと異世界転生物で、ヒロインが蜘蛛の怪物に転生、最初は弱いがダンジョンで死闘繰り広げて強くなっていく。
【良い点】
主人公が怪物で独り黙々と生存競争バトルしていく、大変ユニークな作風。
人外転生の先達な転スラ(本作は影響受けたらしい)もあるが、ストイックにバトルしていくのは独自性ある。
最弱からスタート、自分が悍ましい蜘蛛、倒した怪物を喰らって生き抜く地獄のようなサバイバルに引き込まれる。
可愛らしいディフォルメと、悠木碧氏の軽妙な好演、死闘の果てに強くなっていく達成感などが絶妙に合わさり、非常に面白い。
悍ましい境遇を感じさせない蜘蛛子の人間離れした精神性と悠木碧劇場で、緊迫感維持しつつ楽しく見入ってしまう。
格上の強敵との絶望的バトルの連続、知力と生きる意志をギリギリ振り絞って紙一重の勝利を得る。
レベルアップ時に全回復するゲーム的システムを、薄氷の逆転劇のカタルシスに活かしているのが上手い。
蜘蛛ならではの戦術や駆け引きの外連味も抜群、他作品では見られない名バトル見せてくれた。
序盤の蜘蛛子のバトルシーンに限れば2021年度トップクラスの見応えあり、特に4話はベストバウト。
人間勇者パートの方も対比として悪くはないというか、蜘蛛子パートは意地悪く見ると単調なので、人間パートは必要。
人間パートの方が彼らの危うい立場や戦力でハラハラさせる。
時系列の断絶も初見は戸惑うが、注意深く視聴していけば作劇の構造は問題なく理解できる。
交互に描くことで、世界の秘密や陰謀が徐々に開示される構成も興味を引いた。
楽曲は蜘蛛子バトルシーンのBGMが盛り上がるのと、悠木碧氏が熱唱するEDが耳に残る。
【悪い点】
序盤のバトルシーンを除いた作画水準が低い。
ただし序盤バトルは素晴らしいので減点法で低く評価したくない。(4点)
バトルの山場が蜘蛛子が好敵手と認めたドラゴン戦まで、以降格上に苦戦しなくなり初期の緊迫感が薄れる。
2クールのうち早い時点でピークを迎えて以降は平凡な異世界系。
人間パートが安っぽい。
勇者はそこそこ掘り下げがあるが、所詮モブをダラダラ描いている感じ。
彼らの魅力が乏しい。
交互視点な作劇も勇者パートの安っぽさであまり活きていない。
蜘蛛子が孤高過ぎて他キャラとの交流ドラマが希薄なのもネック。(勇者側と合わせキャラ評価1減)
このためか蜘蛛子がダンジョンから出て以降が低調。
物語の核心や全容を見せず中途半端に終了。
2クールも費やし、おそらく完結までの続編は望めなさそうなのが残念。
【総合評価】6点
序盤に限れば素晴らしかったが、総合的には高評価しづらい。
だが記憶に残る怪作でもある。
悍ましい怪物に転生した女の子が破天荒に生き抜く、良くも悪くも一発ネタ作品。
一発ネタ作品の割に話数が多いのが評価に迷うところ。
評価は欠点も多いが「良い」