タック二階堂 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ヴァンパイアと人間が戦う世界のガール・ミーツ・ガール。
詳細は公式サイトでも見てください。
Netflix独占配信のWIT STUDIO×Production I.Gによる完全新作オリジナルアニメです。監督は「ハル」「屍者の帝国」の牧原亮太郎氏、副監督が「進撃の巨人」の田中洋之氏、キャラデザを担当したのが「NARUTO -ナルト-」などの西尾鉄也氏になります。
人間とヴァンパイアが100年以上も戦争を繰り広げている世界。人間サイドは軍部が市民生活を抑圧し、芸術などを愛でることすら禁じられています。そんな戦時下で、偶然出会った人間の少女・モモとヴァンパイアの王女・フィーネの“ガール・ミーツ・ガール”を美しく描くロードムービー的なストーリーになりますよ。
1話25分、全5話。ま、要するに125分の劇場版というボリューム。
ん? WIT、ネトフリ…。あ、最近「バブル」を配信(公開)したばかりですね。もしかすると、これか「バブル」どっちかを劇場公開するという話だったのかもしれないですね。
で…
{netabare}
まあ、非常に美しい世界観でありながら、戦争の愚かしさ、醜さをWIT STUDIOの見事な作画で描いています。
モモが人間世界を、フィーネがヴァンパイアの世界を裏切って逃走劇が始まるといった導入も自然で、敵同士にも関わらず、少しずつ心を開いていき、無二のパートナーとなっていく展開も説得力があって悪くありませんでした。
もちろん、人間vs.ヴァンパイアのバトルシーンも迫力満点。さすがWIT STUDIOの面目躍如といったところ。そして、ゴシック風・民族音楽を織り交ぜた劇伴も世界観とマッチして素晴らしいものでした。
最後は、ちょっとまとめるために強引だったかなという気もしなくもないですが、まあキレイに締めくくったという印象です。
ただ、そういう意味では、こういった設定・世界観のストーリーとして“優等生”すぎるきらいも…
なんていうか、すべてにおいて「まあ、そうでしょうね」という予定調和感があります。特に、最後の楽園で歓待してくれる村の人達が実は…みたいなのも、そうなるでしょうといった感じ。
モモとフィーネを追いかける人間サイドの叔父、ヴァンパイアサイドの幼馴染、ともに“よくあるキャラ”といった感じ。最後の最後で、実はモモの叔父はかつてヴァンパイアの娘と恋仲でしたが、モモの母によって手にかけられてしまうということが明かされるのですが、これすらも「よくありそうな展開」にしか見えませんでした。
そして、やはり全5話は尺が足りなすぎました。
この尺で、これだけの展開、この世界観を表現するのは、さすがに無理がある。大ラス5話のCパートなんて、これは何? モモの妄想?
{/netabare}
全体的には、オーソドックスなロードムービー活劇に百合要素を足しましたといった感じ。作画や世界観、音楽など非常に高いレベルで安定していた“優等生”なアニメ作品です。そこに面白さがあるかどうかというと、もう好みとしか言いようがないですね。
確かに、これが劇場版だったとしても「バカヤロー! 金返せ!」とは言いませんが、わざわざ劇場まで足を運んでチケットを買ってまで観るほどかというと、そこまでではないといった印象です。ネトフリと契約していて、時間があったら観てもいいかなというところ。