「宇宙家族カールビンソン(OVA)」

総合得点
63.9
感想・評価
13
棚に入れた
36
ランキング
4091
★★★★☆ 3.5 (13)
物語
3.4
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.3
キャラ
3.6

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

SFホームドラマ、異種間母子物。宇宙人のシュールな楽しさと、母の愛

44分のOVA。宇宙船事故で生き残った地球人の女の赤ちゃんが、異形の宇宙人たちに育てられる。
宇宙人はいつか赤ちゃんの母星から迎えが来る時の為に、データベース頼りに地球式の子育てを演じていく。

【良い点】
設定や世界観のシュールさと、ハートフルな温かみ。
古典的な妖怪物の怪が人間の子を育てる系の話(もののけ姫、ハルのふえ、おおかみこどもの雨と雪)などをSFに置き換えているが、人間社会から終始隔絶した幻想的なごっこ遊びが続いていくのが特異。
宇宙人たちは地球の宇宙船から回収した情報を元に地球文化を再現、コロナちゃんを立派な地球人に育てようと地球人を演じるが、データ頼みなので微妙に非常識でシュールになるのがコミカルで楽しい。
シュールだが温かみのある日々の中で、母の愛が描かれる。
45分弱でテンポ良く纏まっている。
もっと長編の異種間親子物の感動作に比べると素朴ではあるが、シリアスが少なく楽しく見られる。

生まれた時から宇宙人に囲まれ愛を注がれ、何の疑問も抱かず健やかに育っていく女の子。
(ヒュンケルみたいな境遇なので何の疑問も持たない)
5歳の幼女コロナちゃんが大変可愛らしい。

序盤、挿入歌と共に愛情たっぷりに育てられるシーンがダイジェストながら良かった。
後半、成長したコロナちゃんがお母さんの為にキノコ探して遅くなり、叱られてしまい家出、人攫いのおばさんに攫われそうに…
ここからの母子ドラマはベタながら申し分なく感動的。
おばさんは優しくて、コロナちゃんがお母さんを選んだらちゃんと返してくれた、悪い人ではなかったけれど、可愛い子供をペット感覚で可愛がるのは本当の親の愛ではない。
お母さんは娘を本当に愛していたからこそ厳しく叱った、本当の母の愛を分かり易く見せてくれた。
いつか地球からお迎えが来て、偽りの家族ごっこが終わる時が来る一抹の寂しい余韻を残したラストも良い。

キャラデザは古いが流石動画工房、女の子の可愛らしい描写は当時から見事。
シュールな宇宙人やロボットお父さん、惑星の描写など申し分ない。
声優陣も豪華、コロナちゃんを荘真由美氏、お母さんを藤田淑子氏が好演。
異形だがコミカルな宇宙人ターくんの神谷明氏も目立った。
楽曲も分かり易くハートフル。

【悪い点】
44分しかないので尺に余裕が無い。
「おおかみこどもの雨と雪」みたいな長編感動作と比べると内容に限りがある。
きちんと描かれれば感動が増すであろうシーンが大分省かれてしまっている。
お母さん視点は十分ながら、娘視点がやや弱かった。
おばさんとの経緯も色々省かれていて物足りない。

偽りの家族ごっこを演じる作風に、一抹の狂気を感じてしまう。
短い尺では疑問を抱いてドラマが大きく動くまでは描かれず、消化不良。

おばさんの宇宙船がお父さんに撃墜されてしまう。
まあ人攫いは悪ではあるけど、コロナちゃんに優しくて素直に返してくれただけに、撃墜(多分死亡?)しちゃうのは気の毒。
(尺不足と合わせて物語評価0.5減点)

【総合評価】7~8点
80年代末期の知る人とぞ知る名作?子どもに見せても問題なさげな良作。
楽しくハートフルで見やすいが、親子について結構考えさせられる。
評価はとても良いか迷うところ、90分くらいの劇場版であれば感動作足り得たような?
とても良い寄りで惜しくも「良い」

【余談】
作中で説明はなく、原作も未読なので推測だけど、宇宙人たちは地球人よりも長命と思われる。
だから地球人の子供育てるためだけに星に留まれるのだろうか?

投稿 : 2022/05/16
閲覧 : 210
サンキュー:

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