nyaro さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
推理ではなく、アドベンチャーゲームだと思って見ると面白い。
ミステリという言葉は2つの意味で使われます…というのは「氷菓」で出たセリフですがまさに本作はミステリの意味を取り違えそうな作品です。推理と取るかホラーと取るか。
本作は推理だとは思わない方がいいと思います。1話冒頭の推理は {netabare}「涼宮ハルヒの退屈」{/netabare}と同じですので、推理小説的な雰囲気でスタートするので推理かなあと思って見始めると違います。
一応推理的なエピソードはありますけど、そのトリックや動機を読み解くことを楽しむような推理小説の体裁ではありません。そもそも証拠の提示が推理小説のルールに沿っていない感じです。本作の本筋は別にあります。
本作は第1次世界大戦前の時期…科学が無い時代、雰囲気で謎を謎に見せている感じです。すなわちファンタジーでありホラーです。ですので暗い雰囲気です。最近で言うとシャドウハウスですね。
本格推理ブームとローゼンメイデン、その他ラノベなどを寄せ集めたような感じで底の深さは感じません。原作者が直木賞とか取ってしまったので、最近はあまりラノベ感はないですが、まあ、ザ・ラノベ的な荒唐無稽な物語です。ラノベは時に村上春樹的な純文学にもなりますが、そこまでの作家性は無い感じです。
主なストーリーは灰色狼という血に関わる物語がありますので、因縁を解きほぐすようなものかと思うとそうでもありません。謎解きの「雰囲気」を味わいながら、ストーリーをなぞっていくようなアドベンチャーゲームのような感じです。
ミステリアドベンチャーの体裁をしたホラーファンタジ―と言うのが良さそうです。それとボーイミーツガールですね。まあ、日本の武士道精神の騎士が塔の上に幽閉された美少女のお姫様を助け出す話です。
キャラです。ローゼンメイデンの真紅と似ているような似ていないような。ツンデレですね。一応ライバル的な女子も出てきますが相手にしてませんでした。パイプ吸ってるので20歳以上?ということでもなさそうですね。
警部のキャラデザがすごいのに比べて久城君はかなり凡庸です。久城君の人物の性格付けもちょっと戦前の日本人男子で正義感が鬱陶しい感じもあります。あまり原作者の愛が感じられません。
灰色狼という設定ですが、まあ紅魔族的な?民族や種族ではなく、閉鎖した地域で遺伝子が強化された結果か突然変異なんでしょうか。説明はほぼありません。この灰色狼の因縁がテーマ性に結びつくわけでもないですし、ストーリーのモチーフまたはギミックとして機能するだけです。
日本人差別と合わせて迫害されている感じに何かを見出すかもしれません。
絵はいいですね。ゴシックの名の通りの雰囲気です。作画も背景もいいです。
総評です。キャラ萌えできるか、細かい設定にこだわらないラノベのボーイミーツモノとしてゴシックホラー的な疑似ミステリの雰囲気を楽しめるなら面白いと思います。テーマ性は人権問題が読み取れなくはないですが、牽強付会な気もします。
ツンデレな残念美少女ヴィクトリカを愛でるのと、エンタメ極振りと割り切って楽しむ分にはなかなか面白いと思います。が、ちょっと古いですね。ゼロ年代のアニメの雰囲気が許容できる人向けでしょう。