てとてと さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
正義でもヒーローでもない不良たちの愉快な日常系
ヤンキー物の代表作の一角、OVA全7話。(1話辺り50分くらい)
【良い点】
正義だの誇りだの勧善懲悪なお題目一切無し。
他不良アニメ(ろくでなしブルース、湘南爆走族、今日から俺は!、HARELUYA II BØY)等が軒並み主人公がヒーロー気質だったり、卑劣な悪党と戦ったりするのに対し、本作の主役コンビは良くも悪くもただの不良(ただし超強い)に過ぎない。
ケンカに大義は無い、他校の不良に因縁付けたり付けられたり些細な経緯でケンカしたり、女に縁のない不良たちが美少女たちに鼻の下伸ばしたり。
不良高校生の等身大の?日常風景を軽妙に描いていて好感持てる。
掛け合いが軽妙でコミカルなのも見やすい。
前半は真面目に?ケンカが多い。
それも等身大の不良たちのちょっとした意地や見栄からくだらない(良い意味)ケンカに発展。
女の子追っかけて、敵の縄張りの街の駅に降りて大勢に追い回されながら返り討ち→帰りの電車で満身創痍でブッ倒れてカラカラ笑うシーンが印象的。
ケンカに理由は要らない。バカバカしくも楽しい彼らの日々、別世界ながらちょっぴりいいなぁと思ったり。
ケンカの仕方もクレバー、他作品の不良主人公程に超人ではないので数的不利なら逃げたり、ハッタリかましたり、武器使用躊躇わなかったり。
5話は宮本武蔵対吉岡一門めいた展開、敵大将集中的にボコって逃げ勝ったり。
わざわざ「卑怯」とカッコ付ける事も無い、不良アニメの主役の中で一番ケンカが上手そう。
一方でウ〇コ漏らしそうな状況で小学生に絡まれて敗北する情けない笑えるシーンも。
ケンカや暴力があくまで不良同士で完結していて、カタギを虐げる陰湿さが殆ど無い点が他不良アニメと一線を画す。
敵も著しい卑怯はしてこず不良同士の暗黙のお約束がある。
ケンカの前にタンカ切り合うシーンが小気味良く、あくまで不良同士のケンカに留まっている感じ。
不良を逸脱して暴力横行する不良作品が多い中にあって、本作が一番清々しく不良している。
後半はコミカルが増え、不良の日常系めいた楽しさ。
前半ケンカした不良同士が結構仲良しになってバカやる話が多い。
シリアスとコミカルの配分が絶妙で全7話の構成も丁度良い。
これ以上続けても冗長になってくる辺り、アニメ版は丁度良く纏めている。
キャラクターが魅力的。
主役コンビの掛け合いや決める時は決める硬派さも良いし、ノブオなどコメディー要員も豊富。
ガチャピンなど敵対する不良のキャラも立っていたり、ケンカで敵対はしてもケンカ後はカラッと付き合えてたり、陰湿さが無い。
また女の子たちが強かで存在感見せている。
おバカな不良たちを翻弄したり、不意打ちしたり、クールだったり、かわい子ぶっていて実はヤバい子だったり、男より強い。
本作の不良は女の子に手を上げるシーンがモブや敵含めてほぼ無かったり。
原作にいないオリジナルの可愛い女の子複数。
ケンカシーンも派手さは無いが緩急付けた描写に迫力がある。
豪華声優陣。
また楽曲も古き良き昭和末期な雰囲気を堪能させてくれる。
昭和後期の街並みの描写も併せて回顧的な良さ。
【悪い点】
特に無し。
一貫したドラマ性に乏しい作風なのが良し悪しか。
【総合評価】8点
他のヒーローぶった不良主人公(近年だと東リベとか)よりも好み。
無論、真面目な不良作品も悪くはないけれど。
評価は「とても良い」