てとてと さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人気退魔バトルアニメの前日譚、105分。本編よりも王道が素直。
人の死や負の感情から悪霊が生まれる世界観で呪術師たちがバトルする、少年ジャンプの人気漫画の劇場版。
本編の2年前を描いたスピンオフ。
【良い点】
悪霊や悪霊を祓う呪術師の養成学校などの世界観が短時間で分かり易い。
ストーリーも友情努力勝利のジャンプ王道が手堅く、
各キャラも魅力的に掘り下げられ、バトルも迫真。
本編よりも王道が素直で親しみやすい。
敵ボスの思想も分かり易い悪役で良い意味で普通だし、主人公のメンタルも本編主人公よりも良い意味で平凡、共感出来る。
原作や本編知らなくても本映画単品で楽しめる上に、本編をより楽しめる内容。
主人公の乙骨憂太(おっこつゆうた)はエヴァのシンジ君タイプ(声も緒方恵美氏)、悲劇的境遇から恩師に見出され、良き仲間たちと交流し共に戦い成長していく。
五条先生や真希ちゃんら2年生組(この時点では1年生)が憂太をグイグイ引っ張ってくれるためか、適度なコミカルも併せてウジウジする時間が短く早々に少年漫画バトル路線に移行してテンポ良し。
早期からバトル展開で段階を踏んで敵が強くなり主人公や仲間も成長する、バトルアニメの王道を105分にたっぷり詰め込んでいて満足度高い。
過去の呪い、自己否定と向き合い、解呪、自己肯定に至る物語。
悪霊と化したヤンデレヒロインとも向き合う愛のドラマも素晴らしい。
里香ちゃんは非常に可愛かった。
生前は勿論、悍ましい悪霊状態でさえ。
憂太だけでなく真希ちゃんの魅力と背景の掘り下げも申し分ない。
境遇にめげない強きヒロインで憂太の先輩から次第に共感できる相手に代わっていく。
呪言故におにぎりの具しか喋れない棘との交流と共闘も良かった。
濃密なバトルを通じて魅力を出し、過去の呪いを克服した同志となる。
友情ドラマが良い為、ラスボス戦の友を傷付けられたから怒る王道も活きる。
作画が良好、悍ましい悪霊も、圧巻のバトル描写も素晴らしい。
またBGMのセンスが良く、バトルの盛り上がりに繋げている。
【悪い点】
難癖気味だけど、ここ一番で盛り上がる印象的な名場面はあまり無い。
悪い点ではないけれど、主要キャラが誰も死なないのも、あざとい盛り上がりに欠ける。
王道の完成度が高い故に、予定調和だった。
これらの点は難癖ではあるけれど。
敵陣営の掘り下げが薄い。
敵の女の子二人の悲しき過去は一応明かされるけれどアッサリ。
【総合評価】8点
喰霊零に続き、退魔バトルの前日譚アニメは良作な法則?
本編は正直、世間の盛り上がり程にはハマっておらず、劇場版で評価改めた。
本編をいずれ放送されるであろう続編も含めて楽しみになった。
評価は「とても良い」
【余談】
主人公の性格や声優の他に、五条先生が上層部に呼び出されるシーンがゼーレっぽい。
退出後の先生のグチもゲンドウリスペクト?