take_0(ゼロ) さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
びわは私たちですね・・・。
・平家にあらずんば、人にあらず・・・。
・驕る平家は久しからず・・・。
・祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・。
まぁ、日本人なら必ず聞いたことのあるフレーズではないかと思います。
主に授業で、かもしれませんが。
恥ずかしながら、私はいわゆる「古典」というモノにあまり興味が湧かず・・・。
授業でも現代文あたりは得意だったのですが、古典というとからっきし・・・。
某NHKのマンガで読む枕草子で納言ちゃんの力を借り、やっと古典というのも面白いかな、と実感した実績の持ち主ですw。
その後も、源氏物語くらいは・・・読んでおかねばと思い挫折し、オーディオならいけるかもと平家物語の朗読を聞いていて、語りがあまりにもおどろおどろしいもので挫折したりと散々でした。
もちろんどの物語も、あらすじというか、概略は知識として知ってはいるのですが、全体のストーリーを通読したことは無いという次第でして・・・いやはや、お恥ずかしい。
で、この作品でやっと通して話をひととおり通して観たという事になるのかもしれません。
私はこの作品は、なんとも不思議な作品だという印象を持ちました。
古典を読むと言うと、文字ばかりが目についてあまり人物の印象が湧かなかったのですが、この作品の平氏の皆さんはとても表情豊か、そして歌い、笑い、踊り、嫌味を言い、そして知性や教養も感じられる穏やかな話しぶり。
「驕る平家~」のワードであたかも悪人とは言わないまでも、自業自得というイメージが先行していた私はカルチャーショックを受けました。
もちろんアニメ作品の中での話なので、実際の過去の人物たちがどうだったかは知る由もありません。
あくまでも、この作品から受けるイメージです。
ですが、本当に雅で風雅なイメージを受けたのです、確かにおごり高ぶった我が世の春がいつまでも続くような慢心も感じられましたけどね。
当たり前の話ですが、実際もいろいろな考えの人が存在していたのでしょうね。
ホントのところは解りませんね、伝わってきているお話からしか想像することはできませんし。
さて、物語的にはびわの視点が重要になってきていました。
正に「視点」です。
最初はその目に悩み、翻弄されていたびわですが、母に会えたことによって自身の「やるべき事」を決めました。
それまでは、見る事しかできな自分に戸惑い、悩み、苦悩をしていました。
ある意味びわは私たちかもしれませんね。
私たちもこの「平家物語」という作品を観るにあたっては、既に平家の運命を知っています。
それぞれの人物がどうなるか、既に知っているのです、そしてそれは変えられない。
監督の山田尚子さんならIFの展開を使って、変えられたかもwなどというメタな冗談はさておいて・・・。
そうなんですよ、私たちもこの平家物語を見始めた時から、何も変えることが出来ずに、ただ見ているだけ、そして、この物語が印象に残れば、後に伝えていく・・・。
正にびわと同じ立場です。
ただし、実際にその場で同じ空気を吸い、人生の一時を共にしたであろうびわと全く同じとは言えませんが。
てな事を思った訳です。
それにしても、びわ役の結木碧さん、凄いですね。
とても多彩な表情を見せる魅力的なキャラクターでした。
演技、表現も素晴らしかったです。
本当に多彩なキャラクターを演じられるものだと関心をしました。
あと音楽。
OPの「光るとき」
素晴らしい曲でした、涼やかで、軽やかで、華やかで、そしてほんの少し物悲しい。
「最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても~♪」
正に、この物語のための曲という感じがしました。
ED・・・まさかラップ調とは!!
しかしながら、よく考えれば平家物語のびわ付きの朗読と少し似ているかも・・・と思ったら、意外なほどあっさりと受け入れられました。
OP/EDとも、物語とマッチしていたと思います。
素晴らしかった。
あと、あえて言うならば、古典が苦手の私が言うのも何なのですが、もう数話プラスして、有名どころの合戦の描写があっても良かった気がしたかなぁ。
もう少しボリュームがあっても良かったというか・・・。
でも、合戦メインじゃなくて、平家の人たち≒人物の流れに焦点を当てたかったのかなぁ、という思いもしました。
全体的にとても優れた作品だったと思います。
機会があったら、ぜひ視聴をしてみて欲しいと思いました。