camuson さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
印象度:70
原作が好きなので、アニメ化の話を聞いたときには、気にはなっていました。
本作品は、冒頭に印象的な作中作のシーンがあります。
列車の中で主人公の対面に座った男が、
膝の上に抱えた匣(はこ)を開けるシーンですが、
アニメではこちら側に向かって観音開きで匣が開いて、
娘がこっち向きでホゥホゥ言っていました。
これはあまりに趣が違うと思って、2話以降、切ってしまいました。
アニメの放映終了後、ふと思い出して、評価はどんなもんだったかと思い、
amazonのレビューなんかを眺めたのですが、思いのほか既読者からの評価が高く、
リーズナブルな値段でBD-BOXが販売されたこともあり、購入してみました。
本作品を見ることで、原作小説を実写化するよりも、
アニメ化する方が有利な点がいくつか見えました。
一つは、配役です。
実写化では限られた役者の中から選ぶしかないので、
ミスキャストと言われてしまうリスクが高いと思われますが、
アニメでは、イメージに合わせてキャラクターを一から創り出せます。
もう一つは、実写と比べると抽象化・記号化されていて、リアルから離れている分、
原作を読んだときに浮かぶイメージと真っ向から競合せずに、
受け手側がイメージを摺り合わせる“しろ”があることです。
そんなこともあって、原作を読んだときのイメージとは違うのだけれども、
こういうのもありかなと、比較的すんなりと受け入れることができました。
マッドハウスは、全体的に暗くて狂気が渦巻く世界観の作品では、
質の高い仕事をしますが、本作もその例に違わないです。
特に、美馬坂研究所の断面を切るようにカメラが動いていく絵は、
何度かリプレイしてしまいました。