ツークツワンク さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
新海誠に引っ張られ過ぎ
出資者に新海誠みたいな作品を作れと言われて作ったんだろうなという作品。
真面目に脚本を書いてこの出来なら虚淵玄の才能が枯渇してしまったんだなという失望しか残らないからそう信じたいところ。
まず、この作品は冒頭からもう酷い。
「勝利条件は?」「なんで危険な競技をしているの?」
などという説明口調をモブにさせないでほしい。
一気に没入感が無くなるし、スタイリッシュパルクールすら見ていて冷めてしまう。
説明口調を省いて、パルクールで敵を倒しながら旗を取ってゴールに置いてある物資を奪う。
その後に「米取られた!」「ガソリンはもらってくからなー」ってセリフが流れて仲間で物資の山分けシーン。
これだけでスタイリッシュ感が出せるのにZ世代や世界の視聴者に対していちいち説明してあげないと分からないかもっていう制作側の意図があってほしい。無いとしたらセンスが終わってます。
テーマもド直球に作中で人魚姫の絵本を説明しながら人魚姫の物語を展開してしまうのもセンスを疑う。ベルリン国際映画祭のレベルってそんなに低いのかという。
そんなこんなで万人(幼児)でも分かり易いような作りをしながらも本筋の設定は抽象的過ぎてアンバランス。
泡とは?ウタとは?物資はどこで調達してる?他の研究者や組織は?東京以外の住人は?
いやいいんですよ。
これらのことは省いてしまっても問題のないことです。
でもね。それならもういっそ競技や世界観の説明すら放り投げてスタイリッシュパルクールを見せたいんや!っていう舵取りをすれば映像美とケレン味で洗練された作品になったのではないかって思います。
映像は背景や水も含めて美しいです。人間もこれでもかってくらいパルクールで動き回るし。ただ、そんなパルクールも真剣に見ていると無駄な前転とかしていてところどころ笑ってしまうんですけど動きに関してしっかり監修してるのかなぁと疑問も。
キャラに関しては評価低め。思春期真っただ中で他人と壁を作るイヤホン系主人公。イヤホンの理由が自閉症という掘り下げがポリコレを意識してなのか本当に必要だったのかは不明。
ここら辺の説明でもスタイリッシュポイントを下げてしまっていますし、同年代や一般人の共感は得られそうにないですね。
ヒロインは作品自体が新海誠を意識して一般層狙ってる割に、癖が強いカバネリ顔なのがところどころ気になってしまったのと野生児の性格が性に合わなかった。
他キャラは師匠とサブヒロイン以外はアイコンだけ作って中身がスカスカ。というよりは短編映画なのでそこら辺はご愛敬。
アンダーテイカーがえげつないことしてる割に終盤のデレが面白かったのでそこは加点。それが嫌って言う人の方が多いとは思う。
去年からオリジナルアニメ映画を色々見てきましたけど、いい加減ボーイミーツガールで最後はヒロインと別れるっていう流れに飽きました。
バブルは新海誠フォロワー感が一段酷いですけど。
ただ、出資者がジェネリック新海誠作品を作ってくれと言い続ける限り、このような作品を制作する流れはしばらく続くのかなぁと思います。