カミタマン さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
最終回のストーリーは,始めから決まっていたとしても
2022/04/27 初投稿
アニメ本編と関係ないことを長々と書いてしまったので,たたんでおきます。
{netabare}
「平家物語」と言えば皆さんそうでしょうが中学校の時,暗唱させられた
これ↓
祇園精舍の鐘の音,諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色,盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず,ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひには滅びぬ,ひとへに風の前の塵に同じ。
ブツブツ文句を言いながら仕方なしに暗唱しました・・・
しかし,今思うに名文ですね。
音の響きやリズム感の良さ(琵琶法師の語りはリズム感皆無^^;琵琶法師よりむしろラップ調に読んだ方が原文の良さが生かせると思いますw)
祇園精舎,沙羅双樹といった想像力を刺激する単語
上記2語と対になる,諸行無常,盛者必衰の仏教的四文字熟語
音・内容全てにおいてパーフェクト
声に出して読みたい日本語筆頭です。(強力なライバルとして「方丈記」の冒頭がありますが,出だしのパンチ力では圧倒的に「平家物語」だと思います。いい文章が続くのは「方丈記」のほうですが・・・)
自分の中に財産として残っている感,クエストをクリアするみたいな達成感。
暗唱する価値はあったと素直に思います。
残念ながら「平家物語」はこの後の
「遠く異朝をとぶらへば~」
からは急速に興味が持てなくなる駄文に感じます・・・
なぜ,駄文と感じるのかというと,自分の国語力の無さかも知れませんが
軍記物というジャンルに分類されているにもかかわらず,戦いの手に汗握るスリル感が無いこと。
テーマが諸行無常にもかかわらず,滅んでいく平家側の心理描写が弱いためあまり感情移入できないことが理由では無いかと思います。
おそらく,これが古典の限界なのかも知れません。
現代に比べて,物語を作る人間の母数が全く違います。
蓄積された表現のための経験値も全く違います。
冒頭以外は,率直に言って文学的に稚拙な作品と個人的には感じてしまいます。おそらく,現代の「なろう系」と比較しても表現的に大したことないだろうと思います。(あくまで個人の感想です。)
{/netabare}
そんな無闇にネームバリューが大きく,弱点を抱えた原作をどのように料理するか,かなり興味を持って見ました。
すごかった点
羊文学によるOP曲「光るとき」
曲もさることながら歌詞が秀逸でした。
出だし「あの花が~」を聞けば必然的に,沙羅双樹の花がイメージされます。実際の沙羅双樹の花はイメージできないのですが・・・中学時代に暗唱して頭の中にある沙羅双樹の抽象的なイメージが(笑)
「最終回のストーリーははじめから決まっていたとしても」と滅亡が確定している,平氏の現在姿をポジティブに爽やかに歌い上げながらも諸行無常,盛者必衰を感じさせます。そして,諸行無常の作品テーマを受けて
「永遠なんて無いとしたら,この最悪な時代もきっと続かないでしょう」と現代社会に生きる我々へのメッセージを投げかけています。
プレイリスト入りしました!
背景
和の雰囲気を感じさせながらもモダンな美しい絵
イマイチだった点
キャラクターデザイン
デフォルメ強すぎで背景の良さを消しているのでは?(あと些細な事ですが,目の内側と外側が逆のような気がして違和感^^;)
メインストーリー
原作に忠実すぎて,戦の臨場感・スリル感も心理描写も弱め。
もっと大胆に描いて欲しかった。
ということで,平家物語のアニメ化という攻めた企画でしたが
内容は守りには入って,盛り上がりは今ひとつという印象でした。