QWERTY さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
架空戦記が突き付ける戦争の本質
本作では、神を名乗る「存在X」が、無神論者である主人公の運命に干渉し、過酷な状況を次々と作り出していきます。彼の心を折り、自ら神に縋りたくなるように。
「彼」が送り込まれた世界は、初めての世界大戦に落ちていく一歩手前。
身寄りの無い「女児」として転生させられた彼は、戦渦を生き残るため軍に入り神に対抗し続けます。
地域紛争がエスカレートして複雑な利害対立を生み、戦闘で勝とうが負けようが積み上がる遺恨は、ついに理性で制御不能な領域に到達。
ひたすら虚しいだけの兵器の咆哮は、最近リアル世界で聞き慣れてしまったもので、この架空戦記で描かれていることはまさに近現代の縮図と言えます。
「殺すのも、殺されるのも嫌い」だったはずの彼が、組織の中で模範的な人物を演じるうちに、神に愛された戦場の女神とも、無慈悲な殺戮をもたらす悪魔とも呼ばれるキープレイヤーになっていく姿は見もの。
誰もやりたくない殺人行為を「正当化」して集団で遂行する狂気。
リアル世界では、もう見たくないものです。