ぴかちゅう さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
あくまでも犬夜叉ファン向けの作品
犬夜叉ファンとしては、この作品と前後して、犬夜叉カフェや犬夜叉展などが開催され、犬夜叉コンテンツの需要が再発見されたことで、犬夜叉グッズが多く販売されるようになり、本当に嬉しいです。この作品もその一連の流れに沿って(あるいは、この作品企画が上記のきっかけだったのかもしれませんが)、作られたものになります。
ただ、肝心の内容面については、1シーズン目から引き続き、やはりストーリーが弱く、特に2シーズン目はそれが顕著だったように思います。夜叉姫の年齢設定が犬夜叉の世界観と矛盾していることは1シーズン目のレビューで既に指摘しましたが、2シーズン目に限っても、夢の胡蝶と妖霊蝶って何か関係あるのかとか、結局、麒麟丸倒したの殺生丸で、夜叉姫ではないじゃん、とか。妖霊星は人間には見えないという設定も、妖怪と人間では見えるものが違うという世界観は犬夜叉にはないので、かなり不自然に感じました(マグルと魔法使いじゃないんだから)。
それと、あんまり永遠関連のエピソードに説得力を感じませんでした、是露の攻撃で、孤独感を強めるエピソードも、まぁもちろん、両親の顔も知らず、妹とも生き別れたから孤独はあったのだろうけども、それまでのエピソードで、特に両親との関係性(がないこと)がクローズアップされていないので、ちょっと唐突感を感じてしまいました。それから、最後まで、なぜ理玖のような何百年も生きてきた妖怪が、小娘の永遠に惚れるのか、ちょっと分かりませんでした。純真さに惹かれたという意味では、殺生丸とりんの関係とパラレルなのですが、少なくとも殺生丸が、子供時代のりんに惚れた、ということはないでしょう。ちなみに、りんちゃん関連でいうと、大人になったりんちゃんが見れてよかったです。あと、10月クールのEDは、音楽もアニメーションも好きでした。
アニメとしては、ある程度の長さの原作も12話に押し込められることの多い近年、48話という長さに見合う作品になったとは言えない、というのが素直な感想です。あくまでも、私のような犬夜叉ファン向けの作品の域を出ないだろうと思います。その意味では、犬夜叉ファンに忖度して(笑)、夜叉姫と同時代にいる珊瑚や七宝などのシーンがもう少しあってもよかったかなぁ。
他方、一つ思うのは、犬夜叉原作において、男女間の恋愛は中心的な地位を占めており(犬夜叉、かごめ、桔梗、奈落の4角関係があの作品の本質でしょう)、兄弟姉妹の関係も、犬夜叉・殺生丸、珊瑚・琥珀、かごめ・草太という形でそれなりに出てくるのですが、親子間の愛は、あの作品にはほとんど出てきません。かろうじて言えば、犬夜叉とその母との関係性、父親を乗り越えていこうとする殺生丸が思い当たりますが、いずれもメインのストーリーラインを構成しているわけではありません。また、かごめの場合、父親は不在ですが、その理由について触れられることもなければ、その不在についてかごめが言及・思考する、というシーンもなかったはずです。夜叉姫は、その親子間の関係という欠落部分を埋めた作品、と解釈することはできるのかな、と思います。その意味では、犬夜叉ファンであれば、見てみてもよいのでは、と思います。
[2023年10月追記]
完走した作品のみをレビューしているため、とりあえず完走できる質だったということで、これまで、レビュー点数は3.0以上としてきました。しかし、レビュー内容が辛口になっている場合でも3点台をつけているため、他の方の同じ程度の辛口レビューと比べて、点数がかなり高めになっていました。そのため、レビュー点数の下限を2.5点に変更し、この変更に合わせ、このレビューの点数も変更しています。