tinzei さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.5
作画 : 1.5
声優 : 1.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
個人的に面白いと思ったのは1、3、8話
一話完結で描く人間模様作品。原作は漫画で実写ドラマ化がよくされている典型的な人間ドラマ。
共通人物が全くいない完全な一話完結だけど、全ての話において「家族」が関わってくる。
観る前まで、もっと昼ドラみたいなドロドロの人間関係をやるのかと思ったけど、シリアスの大小はあれど、基本穏やかに進んでハッピーエンドで終わる。
毎回主人公は俳優女優やモデルが演じる。他は本職声優だから主人公だけ浮く感じになるけど、この作品においてはそれでいいのかもしれない。ただそれでも人によって上手い下手はあった。
上手いと思ったのは唐沢寿明、財前直見、下條アトム。まあ唐沢と下條は吹き替えもよくやるから、当然と言えば当然。
逆に酷かったのは、反町隆史、押尾学、増田恵子。反町と押尾は声の演技が下手くそだったけど、増田恵子に関しては、演技以前に喋り方が酷い。舌を舐めずるような喋りで、どう考えても声優に向いてない。似たような喋り方だと『ラーゼフォン』で主人公の母親を演じた音楽家の人を思い出したけど、あの人は声に特徴があったから、採用された理由も分かるけど、この人に関しては何で起用されたのか分からない。
上でも言った通り、全ての話に「家族」が関わってくる。具体的に言うと「父親としての子供への接し方」や「年老いた親の面倒」みたいな誰もが直面する現実問題だったり「生まれてくるはずだった子供の名前」や「家族を裏切った女囚人」のような非日常パターンもある。さすがに自分の経験と照らし合わせて感情移入できるようなものは少なかったけど、普段こういうのを実写でもアニメでも見ないからかそれなりに面白かった。ちなみに個人的に良いと思ったのは1、3、8話。
wiki見る限り、原作は「家族」がテーマというわけではなさそうだけど、そこはオリジナルにアレンジしたのかな?
【各話あらすじ】
1→ボクシング世界チャンピオンの野口は「ボクシングは趣味の延長」「ガッツや気合は古い」など調子の良い言葉を並べマスコミ受けを気にして過ごしていた。だが実際は世界チャンピオンになるため並々ならぬ努力をしていた。野口がボクシングを始める切っ掛けは幼い頃に水商売をしていた母親に付けられた顔の傷だった。その後世界チャンピオンになり母親との関係は表向き良好だったが、内心では母親のことを嫌っていた。ある日、それを見抜いていたジムの会長が母親がジムに入った野口を気にして毎日電話してきたこと、傷つけてしまったことへの後悔を口にしていたことを教える。野口は思い直し、母親と本当の意味で良好な関係になり、試合に負けても正直でいられるようになる。
2→場末で弁護士をしいている鶴橋は、法律とは何かに迷い、受けた依頼を失敗していた。鶴橋はかつてアメリカで法律を学んだエリートで、教授の娘京子と付き合い、名門大学の助教授にもなれるはずだったが、現場を知るためあえて弁護士をしていた。そんな時、行きつけのカフェの店員みどりが相談に来る。みどりはまだ十代だったが、太郎という息子がおり、それを死んだ夫の両親に取られていた。鶴橋は自分に仕事を斡旋してくれていた教授を裏切り続け、京子から交際を考えるという連絡がある。鶴橋は京子を連れて、太郎を奪った祖父母に会いに行き、人間なんだから話し合えと一喝する。それを見た京子は鶴橋の考えを理解し、みどりと祖父母も和解する。
3→染谷はかつて自分が親父に自転車を買ってもらった時の喜びを息子サトシに味あわせようと何も言わず自転車を買っていく。しかしサトシには興味すら持たれず染谷はショックを受ける。ある日、自分が勤めるデパートで子供の万引きが起こる。同僚から親に対する不満からやったのでは?と言われ、サトシも不満を抱えてるのではと思い、早退してサトシに会いに行く。サトシは特に不満も無さげで、染谷は日曜日に一緒に遊ぶ約束をする。しかしデパートが繁忙期に入り、その約束をすっかり忘れていた。だがある日、家にあった自転車が変わってることに気付き、妻からサトシが欲しかった自転車に代えてもらったと聞く。染谷はそれを聞いて、かつての自分の姿を思い出し、自分は自転車を買ってもらって喜んだのではなく、父親に約束を守ってもらえてうれしかったのだと気付く。染谷はサトシと約束して、仕事を休んでサトシとの約束を守る。
4→銀行に勤める葉子は兄から息子が就職できず鬱になったと言って父を押し付けられる。かつて父は家庭も顧みず母に怒鳴り散らす父親で、葉子はそんな父を嫌っていた。彼氏から求婚されるも、笑いが無かった家庭を思い出し、踏み切れずにいた葉子だったが、父が近所でトラブルを起こす。約束の一か月が経った後、葉子は父を送り返そうと、兄の家に来るが、兄はもう少し面倒を見てくれという。しかも息子は元気で、兄は葉子を騙していた。葉子は息子の件で兄にお金を貸しており、葉子はさらに怒る。今度こそ父を押し付けようと、近くで待っていた父を連れて兄の家に戻ると、息子が兄に怒鳴り散らかし暴力をふるっていた。実は息子は不良息子で、お金を借りたのも息子の借金を返すためだった。父はそれを見ながら、自分の父親像しか知らない兄は父親になれなかったと嘆く。葉子は父を連れ帰り、彼氏と結婚して一緒に住まないかと持ちかける。
5→工事現場で働く緑川は森川と一緒に向かい側のスタジオから出てくるスターを見て、いつか超えてやると息巻く。緑川は大スターになり森川はマネージャーをしていた。しかし緑川は消えていく恐怖から仕事に打ち込み、出産間近の妻里美に関しても、お見舞いにすら行かなかった。そんな緑川を見かねて注意する森川だったが喧嘩になり、緑川は森川を追い出してしまう。出産日になり緑川はバーで飲んだ後向かうが、赤ちゃんは死んでしまっていた。緑川はそれを悲しむこともなく、出生届と死亡届を書こうとするが、赤ちゃんの泣き声が聞こえて、ちゃんと名前を考えてやろうとする。その後森川にかつて売れない俳優だった父が言った「冬のセミ」の意味を話しその本当の意味を理解したと話す。緑川は赤ちゃんの遺灰とともに、自転車で生まれた世界を見せてあげる。
6→工業地帯で小料理屋を開くママの息子として生まれた次郎は、勉強ができ私立の学校に行こうとする。母親はお金がないと反対するが兄の一郎のおかげで無事進学することができる。その後教授にまで成り上がった次郎のもとに一郎が来て、コネで子供を入れてくれないかと頼まれるが次郎は断る。次郎は一郎がやってる店に向かい、自分が私立に進んだ後、この工業地帯で働く人間を嫌っていたことと、大学で出会った教授が労働者たちと同じ目をしていたことを話す。次郎は確かにコネ入学はあるが兄の子供にはそんなことして欲しくないと話し、素直に勉強させることを薦める。
7→大手新聞社の社会部で働く前田は数々のスクープをしてきたのに突然田舎の通信部に左遷される。前田は不貞腐れ、他の通信部の記者や、身重の妻にもつらく当たってしまう。ある日、家が全焼する火事があり、両親の介護をしていた娘だけが生き残った。前田をそれを聞き、介護に疲れた娘が放火したと思い、他の通信部の記者を出し抜くため勝手に取材し記事にする。しかしその後娘は自殺してしまう。他の記者は警察署長からそれを聞いており、自殺する可能性があるから記事にしないでくれと言われていた。前田は他の記者から新聞記者の在り方を教えられる。その後バーで飲んだくれて家に帰るが、妻の出産日だったことを忘れてしまい、急いで病院へ向かう。すると他の記者たちが面倒を見ていてくれた。前田はそこで思い直し、平和な記事を書くようになる。本社の人間はそれを見て、しばらくしたら東京に戻そうと提案する。
8→新人刑務官の田村は村上という囚人から紙飛行機で挑発を受けていた。田村はそれに憤り、懲罰房送りにするよう所長に言うが、所長は宥める。すると夜中所長が来て村上のことをよく調べてみろという。実は田村が刑務官になって初めてカウンセリングしたのが村上だったが、彼女が言った生い立ち罪は全くの嘘だった。村上は幸せな家庭を持っていたが、夫が海外赴任中別の男と関係を持ちその男と詐欺を働き捕まっていた。田村は村上と会い、彼女が出所日の前に夫と息子に連絡してもし許してくれるなら指定日の晩に紙飛行機を飛ばしてくれと頼んでいたが、その晩、村上は出ることができずまた嘘を付かれたと田村は思う。しかしその後田村は考え直し、村上は確認するのが怖く自分にそれを頼もうとしていたのではと思う。指定日当日。田村は村上を連れて、紙飛行機が飛ぶ場所へ行く。すると大量の紙飛行機が現れ村上は涙する。田村はその後、田村は囚人も普通の人間だと思い直し、後輩に対してもそのことを教える。
9→妻子持ちで新築の家を建てた太のもとに老女サチが押しかけて、祖母のような振る舞いをしてくる。サチは太の死んだ父の愛人だった。太の妻やす子は実の母でもないのに、家に住み着いたサチを鬱陶しく思い、太に早く出て行くように言う。優しい太はサチがボケてると思い、少しだけ過ごすことにする。だが太の単身赴任が決まり、サチとやす子たちをこのまま一緒に住まわせるわけにはいかないと思い、サチに家を出て老人ホームに帰るように言う。サチは分かったと言ってホームへ行くが、その時、自分がボケてない事、父が死んだ時サチを父のもとに連れて行こうとしてくれたことを話す。一方やす子は息子の茂からサチのこと好きと聞き、夫たちより先回りしてサチを家族として迎えに行く。
10→パリで美保は佐々間英二という画家に出会い結婚する。佐々間は貧乏だったが、芸術にひたむきなとこに惚れた美保に不満は無かった。ある日佐々間の父親代わりだった人間が死に、日本へ帰る。その時知り合いから仕事を斡旋され仕方なく引き受ける。その後佐々間は一流デザイナーになり美保も日本で暮らす。しかし佐々間はお金と引き換えに芸術への情熱を無くしただの宣伝デザイナーに成り下がってしまっていた。10年以上経ったある日、美保は佐々間を呼び出し離婚話とパリへ戻ることを話す。佐々間は今のパリに前にいたようなパリの姿は無いと言うが、それでも美保はパリに帰ろうとする。その後空港で美保に会いに来た佐々間は今自分は裕福だと話し戻れと言うが、美保はお金の話をする佐々間に幻滅し男がいると嘘を付きパリへ行く。パリへ来た美保はかつて行きつけのレストランで佐々間が絵と引き換えに食事代をタダにしてもらった店へ行く。するとその店は様変わりしており、絵を描いてタダなんてことはしていないと言われる。しかし店主が美保と気付き、再会を喜ぶ。美保は佐々間の書いた絵はどうしてると聞くと、ある人間に描き直してもらってると言い佐々間が現れる。美保は驚き、佐々間は自分の芸術への思いを取り戻していた。
11→母親がキャバレーで働いているということで虐められている清はそのことを教師に言うがマトモに聞いてもらえず更に虐められる。いつもみたいに海が見える場所で泣いているとメソメソ泣くなと紳士に怒鳴られる。また虐められているとその紳士が現れ、清は仲良くなる。紳士は見た目お金持ちに見えるが年金暮らしの貧乏人だった。清は紳士に誘われ、年金を受け取るため郵便局へ一緒に行くが、そこで郵便局員と押し問答を繰り広げる。その後紳士にゴハンをおごってもらい、母親がしばらくしたらキャバレーを辞めるからそしたら虐められなくなると話す。しかし紳士はお前が堂々としてないからいじめられのであって、母親がキャバレーを辞めてもいじめられ続けると答える。その帰り道また虐められそうになるが紳士が追っ払い、清は自分が変わる決意をする。その後紳士を母親に紹介し、さらにいじめっ子にも堂々と母親を紹介する。清は虐められなくなり、紳士とも付き合っていた。
12→女子少年院に務める野崎は、問題ばかり起こす菊島という生徒が気になっていた。菊島は義父に性的暴行をされ、荒んだ生活していたが、恐喝などで逮捕され少年院に送られていた。しかし菊島は問題ばかり起こし果てには脱走までしてしまった。野崎は菊島のかつての仲間に接触し菊島の居場所を聞こうとするが逆に暴行を受ける。野崎はそれでも引き下がらず菊島はその姿を見て思い直し少年院に戻る。その後問題も起こさず無事卒業した菊島としばらく文通をしていた野崎だったが、ある時パッタリと手紙が途絶えてしまう。野崎は気になって住所に行こうとするが看守長にもし菊島がまた荒んだ生活をしていた時あなたは立ち直れないと言われ断念する。しかしそれでも気になった野崎は住所周辺で風俗などを当たるが菊島には会えず、渋々ラーメン屋へ入る。すると出前から帰ってきた女が菊島で、店主と二人でラーメン屋を営んでいた。野崎は涙が止まらず、泣きながらラーメンを食べる。
13→宵子は内縁の夫である大崎を殺し裁判を受けていた。検察は宵子が殺害後、愛人や常連客に電話をし、お酒も飲んでいたと非難する。宵子は高校卒業後上京するが大崎と出会いヤクザと気付かず無理やり犯されてしまう。その後
大崎のバーのママになり、大崎からの仕打ちにも耐えていた。だがある時、隆二という男と出会い、宵子は近所でいつも見ていた大きい川のような安心感を得る。だが大崎がお金に困り、バーを売ろうとした時、咄嗟に包丁で殺してしまった。宵子は最初に隆二に電話をするが、隆二は驚いて電話を切ってしまう。そこから宵子はうつ向いたままだった。しかし弁護人が証人として隆二の名前を呼ぶ。隆二はあれから弁護士に接触し、宵子の関係者をあたり減刑嘆願書を作っていた。宵子はそれを聞き、また大きな川を見た気分になり、移送中に見たスクランブル交差点がその川だと気付く。