レオン博士 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
このままずっと何も知らないでこの距離感でいたいよ
タイトルはEDテーマの1フレーズを引用しました。
高校3年生のクリスマス~3学期限定の恋愛模様。
4年ぶりに戻ってきた転入生(主人公)を軸に、なんとなく流れていた時間が、静かに動き出す。
この物語は、甲子園に行く約束を果たしたり、暴走族の仲間になって抗争止めたり、隣の席の美少女が毎日からかってくると言った「特別なこと」は何も起きません。
でも他人から見たら「なんとなく」生きているように見える彼らにとってその「なんとなく」がすべてで、「なんとなく」を「特別なこと」に変えるため、一人一人がちょっとだけ一生懸命になる、そんな話です。
良くも悪くも普通の高校生の恋愛模様で、リアリティ重視なのでエンタメ的な面白さよりも、視聴者自身の青春時代の思い出と重ねながら楽しむ作品となっています。キャラクターや人間関係が妙に生々しいので作者の実体験なんでしょうかね?
恋愛小説とか好きな人なら楽しめるでしょう。私はとても好きな作品です。
【卒業まで3か月!】
高校3年の3学期って2月中旬くらいまでは大学受験で頭いっぱいだった記憶しかない。
2次試験が終わったらあとは合格発表を待つだけなので、私も含めてそこで切り替えて最後の高校生活を楽しむほうにようやくシフトしました。
そうなると、途端にもう高校生活終わっちゃうっていう別の焦りが生まれるんですよね。
私は純粋に最後の高校生活を楽しめましたが、特に恋愛みたいに高校生活でやり残したことがある人にとっては焦るみたいで、受験終わってから急にクラスメイトの話題は恋愛の話で溢れかえっていましたね。
この作品はそんな時期をテーマにしたのが面白いと思いました。
【キャラクター】
奇人変人は登場せず、現実にいそうな高校生ばっかり。これがこの作品の個性であり、魅力に感じる部分だと思うけど、リアルな高校生を描いていてエンタメらしいキャラクターは出てこないので、キャラクターに個性をあまり感じないかもしれません。
キャラクターの恋愛や友人への向き合い方も自然で、高校生のやり取りってこんなもんだなあって感じましたが、どっちかと言うとマジメな優等生のやり取りって印象です。
実際にはもっと軽くて砕けてますが、時代のギャップもあるかもしれませんね。
{netabare}
また、美緒を取り巻くクラスの女子の人間関係も妙にリアルで、友人たちの桃香と真由子は美緒の気持ちを知ってるので、森川さんに対して敵対はしないものの「地味な子」「吹奏楽部の」と名前で呼ばないし遠目で冷たい反応を示していて、早苗は3人の様子見ながら空気読んでる感じで仲間の敵は共通の敵みたいな女子コミュニティのめんどくささもよく描けてると思う。
主人公みたいな人、高校生の時クラスにいたけど何考えてるかわからなくて、壁を感じるのであまり好感は持てないタイプですね。
それでも終盤、動くべきところで動くところがとても良かった。
こういう話は負けヒロインがいつもかわいそうな結果になってみていて胸が痛くなりますね。
{/netabare}
【シナリオ】
シナリオの面白さはあまりないですが、高校生のなにげない日常を描くのはとても上手いと思う。
日常と言いながらこんな高校生いないよって作品が多い中、リアルな高校生の空気感を出すのがとてもうまい。
恋愛もこうなったらいいなーって思い描くけど、なかなか思ったように事が運ばなくてうまくいかないもどかしさが妙にリアルです。
卒業まで時間がない、先に進みたい気持ちと、このままいい関係を続けたい気持ちとの間で揺れ動いて焦る気持ちが繊細で共感しました。
卒業まで時間がない3年生の3学期という「締切間近」な期間をうまく活かしたシナリオで面白かったです。
【音楽】
BGMは控えめでとても静かなところがこのストーリーだと演出の一部かって思えるくらい静寂が合ってますね。
ここも好み分かれる部分で、恋愛映画とか苦手な人だと退屈に感じるでしょう。
OPテーマEDテーマの「Behind」はどちらも凄く好きですし、森閑のまえはもとてもいい曲でオススメです!
【作画】
あまり良くないですが、耐えられないほどではなかった。