コンキスタ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
『現代社会で失われつつある、男と女の浪漫』
『結論』
この多様性が飽和した現代社会を生きる若者達。貴方達が探していた「答え」をきっと、この作品は持っています。
『感想』
「鞘になってはくれまいか?…緋村という刀を納める鞘に。」
長州藩、維新三傑の1人である桂小五郎が雪代巴に言った台詞です。
剣心は、己の信じる理想のために山を下り、比類無き最強の剣術『飛天御剣流』を以て人斬り抜刀斎となり、新時代を切り開きました。この物語はその道の往く剣心の原点です。
この物語を通して僕が感じた事。それは『現代社会で失われつつある男と女の浪漫』です。
剣心は己の信じる新時代のために人斬りになりました。若さ故の理想を追い求めた。しかし、その道を往くには剣心はあまりに優しすぎた。飛天御剣流は剣心を『抜刀斎』に変え、心を病ませていく。
その道すがら彼は『雪代巴』に出会うのです。
冒頭に述べた台詞通り彼女は緋村という刀の鞘となり、支えとなりました。自分の恋人を斬り殺した男との生活。復讐を果たそうと決めた男を愛してしまった。
荒んだ時代の中、己を殺してでも、理想を追い求める男の優しさと覚悟に『ひとりの女』として触れてしまい、彼を憎めなくなってしまった。
けれど、剣心の覚悟も、巴の揺れる想いも時代は許してはくれませんでした。
この作品を通して私が伝えたいのは『現代社会で失われつつある男と女の浪漫』がここにあるという事です。
話したいのは、生き方の話。
剣心が理想のために時代を切り開いたように、理想のために生きるは男の本懐です。覚悟を決め、己を殺してでも何かを成すという思い。
そして、その道行きを共に添い遂げる女の生き様。男の理想に翻弄され、傷付き、迷い、それでもなお、男を許す暖かさを持つ。愛する人を切り殺した剣心を見守ったように。
個性が重要視されるこの現代社会において、時代錯誤な考えだと言われるかもしれませんが、この2人の生き様が、私にはたまらなく愛おしいのです。
自らが望んだ生き方を、生き様を選べるこの時代。
これからを生きる若者達、あなた達は誰を想い、何の為に、どんな道を往くのでしょう。可能性は無限大です。
あなた達の生きた先が、どうか、浪漫溢れる幸せな人生である事を心より祈っています。