ネムりん さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ReLIFEしたいかも
原作、夜宵草。
物語の内発的動機であるリライフ研究所は、社会からドロップアウトした人を社会復帰させるプログラムとして実験段階中のものを担う、政府系ではなく三菱総研や野村総研などに代表される民間のシンクタンク(社会政策、政治、経済、技術、文化などのテーマに関する研究を行う政策立案、政策提言を主に行う研究機関)に該当し政府から委託を受けたもので、営利目的で事業を行う民間企業とは異なり、自立型の就職支援プログラムの取組を行い、クライアントである国の抱えている問題を解決するコンサルティングファーム(クライアントである企業等の課題を解決する業務)の要素も備えているといったおそらくそのような設定。
あくまでも被験者の社会復帰が目的であり、架空で作られたものというよりはアジェンダ(議題)に沿った形で学園生活と恋愛模様が描かれており、現実に即した設定がとてもしっかりしている作品。
『ReLIFE』は作者の実体験がストーリーのベースとなっていて、その体験を踏まえ学生と大人、どちらの目線からでも作品を楽しんでもらうために物語が描かれており、被験者の就職支援と社会復帰を目標とした社会問題にスポットを当てたもので、 1年という被験者期間においてクラスメイトと交流を深めながら、被験者同士がお互い惹かれ合いそして別れを迎えるといったSFチックな恋愛模様が描かれている。
背景が主人公の海崎新太の先輩佐伯みちるへの嫌がらせがエスカレートして、その先輩が自殺に至りトラウマを抱えて3ヶ月で会社を退職し、再就職がうまくいかずアルバイト生活を送るといったもので、実生活においても起こり得る内容で現実問題としては実際に社会復帰するのが難しく、『ReLIFE』のような日の当たらないところに手を差し伸べる試みは、現場の視点を捉えた支援する側の所謂、傍目八目に触れた内容が解決すべき課題点を指摘していて、作品の本筋がよく出来ている。
就職活動で挫折を味わってしまうと精神的頓挫を起して諦めの境地に陥りやすいのだが、主人公の海崎新太やもう一人の被験者である日代千鶴のような競争社会から溢れてしまった可能性のある若者にチャンスを与えるのはとても良い試みで、国等が率先して取り組むべき課題を作品を通じて隠喩がされているようでテーマとしては的を得ていて、行政が抱える問題をパブリックコメントとして事例を示して提案する試みは、ストーリー内容に奥行きを持たせ、現実と理想を相互作用させながらラブコメ要素を入れることで、重くるしい雰囲気に縛られない作風が上手く機能しているように思えました。
物語は恋愛・友情・葛藤 を描く学園ラブコメで、登場人物が三本眉で癒し枠の玉来さん、ツンデレ枠の狩生玲奈、あざとい三つ編みメガネこと小野屋杏、感情が欠落しているクーデレの"ひしろん"こと日代千鶴(ロボ?)と、大人な雰囲気と対応力がある海崎新太との掛け合いが、温度差があるけどお互いが求めるものに惹かれていくところが青春してて、王道ではあるが結末に向けたストーリーの流れがしっかりしていて程よく楽しめました。
真面目で空虚な優等生キャラをメインヒロインにして、包容力のある大人の男性キャラが次第に感情を芽生えさせていく構図が新味があってとても良かった。
そして最終話、ひしろんの心の変化が見られた告白から、自分の気持ちに気づいていく姿が微笑ましく思えた完結編へと続く心温まるお話でした。