だわさ さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.5
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
今日で最終回。2年かかった星矢続編も今日ここで終幕。
全97話というボリューム。二年に渡って聖闘士星矢Ωを視聴してきて、まあ自分でもよくもまあ最後まで見続けてこれたものだと思う。
車田正美プロジェクトとして始動したこの聖闘士星矢Ω。「序章」、「十二宮編」、「新生聖衣編」、「Ω覚醒編」で構成されている本作のシナリオは、一応正当続編として位置づけられている。一部のプリキュアスタッフが所謂暖簾分けっぽく始まる形になったことが星矢にどう影響するかはなんとなく放送前から想像できたことだったが、原作好きにとっては、コスモ全開で「軽々しく聖闘士星矢を変えてしまわないでほしい」と懸念したことだろう。
新しい聖闘士星矢。放送開始当初は少々のことなら諦めて許そうと思っていた。プリキュア感あふれる絵や、熱さの感じ取れないワンパターンなバトル、アテナの声優がしょこたんでも、なんとか諦めはついた。まあ、ワンパターンなバトルについては、最後の方はもう敵キャラが「またワンパターンな攻撃か」とか言ってネタにしている始末だったけどね。
でも、かつて原作で死闘が繰り広げられた星矢の人気の中枢である「聖域十二宮」を、あっさりと一瞬で全部破壊したりするのは本当にやめて欲しかった。制作スタッフは本当に星矢愛があるのか疑問に思う。星矢を知っていても、分かっていなかったんじゃないだろうかと思ってしまう。
今作の星矢は、聖闘士はアテナを守る闘士であるはずなのに、メインキャラでさえ自分のためにしか戦っていない。聖闘士の属性という後先考えない無意味な設定にはじまり、黄金聖闘士がただの悪党だったり、聖闘士の中で禁忌とされているアテナエクスクラメーションを使った後もケロっと聖闘士面していたりする。矛盾を修正する更なるぶっとび設定が間に合っていない残念感が常にストーリーにまとわりついてしまっている。
瞬をはじめ伝説の聖闘士の聖闘士休業等、原作からのファンである大きいお友達は子供だましでは済まされないということをスタッフは考えてくれていない気がする。さらに、刺青が不明の玄武の存在等、原作設定を揺るがしかねない危うい設定上塗りが、聖闘士星矢の人気の土台そのものを揺るがしかねない行為であることが自覚されていない。どうしてこんな作品になってしまったんでしょう。「自分で道を拓くこと」という今作のテーマは、Ωの「信じあう絆の力」という概念と食い違っており、シナリオもいきあたりばったりで迷走してる感じが伝わってきて悲しいですよ。
後半は明らかに原作キャラで無理矢理盛り上げた。原作キャラがばらけて個々に大敵を主担当し、Ωのメインキャラは固まって行動する構図になっていた。最終局面に至って主人公以外のΩのメインキャラはボスにあっさり瞬殺されるというシャレにもならない扱い。それはもう尺ツナギにもなってない感じのやられ様に、このアニメは一体何がしたかったんだろうと虚しくなりました。この有様に悲しくなった人は少なくないんじゃないだろうか。
さて、一輝兄さんの話。
個人的に大好きな原作キャラの一輝兄さんは放送序盤OPからチラチラ出てきていたのに、結局登場したのは76話。声優は杉田さんになっていたけど、すんなり許せた。意外とよかったと思う。むしろ杉田さんの実力を感じた。一輝兄さんが登場してくれたときは涙が出た。1年以上毎週今日か今日かと思って待ってたから…。ありがとう一輝兄さん。鳳翼天翔―!!
総括して最終的にどうだったかと聞かれれば、
原作に影響を及ぼすレベルの上塗り後付け設定をあっさりやってしまうような危うい作品だったと答える。
これまで「聖闘士星矢」は原作終了後天界編に失敗し、
真っ当な原作の後続編に苦しんできた。声優の交代劇という内部でのゴタゴタに決着がつけられず、新作は先延ばしになり続けてきた。そんな中でついに登場した今作が、こんなにも原作の設定を軽々しく扱う態度を見せ、その割には最後は原作キャラ頼みのシナリオにしたということが本当に残念。